報ステ、ウェブCM炎上で削除 アピール空回り「女性蔑視」批判相次ぎテレ朝謝罪

[ 2021年3月25日 05:30 ]

テレビ朝日「報道ステーション」のCM(YouTubeから)

 テレビ朝日が22日にYouTubeなどで公開した報道番組「報道ステーション」のウェブCMに、「女性をバカにしている」「絶句した」など批判の声が会員制交流サイト(SNS)などで噴出し、テレ朝は24日、CMを取り下げた。

 CMは30秒版と15秒版の2種類。若い女性が「どっかの政治家が“ジェンダー平等”とかってスローガン的にかかげてる時点で、何それ、時代遅れって感じ」「いい化粧水買っちゃった!消費税は高くなったけど」などと笑って話し、最後に「こいつ報ステみてるな」と字幕が出る。

 公開後、ツイッター上で「こいつって何様?」や「女性蔑視があふれている」と批判が相次いだ。

 テレ朝は「幅広い世代の皆さまに番組を身近に感じていただきたいという意図で制作した。ジェンダーの問題については、議論を超えて実践していく時代にあるという考えをお伝えしようとしたものでした」と趣旨を説明。

 その上で「意図をきちんとお伝えすることができませんでした。不快な思いをされた方がいらしたことを重く受け止め、おわびする」とコメントを出し、CMを削除した。

 「ジェンダー平等」を巡っては、今年2月に五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長が「女性のたくさん入っている会議は時間がかかる」と発言し、世界的な批判を浴び辞任した。

 また、今月23日には来年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の時代考証を担当する歴史学者がインターネット上での「ミソジニー」(女性や女性らしさに対する嫌悪や蔑視)発言で降板した。

 日本社会の意識の遅れが指摘され、世間の目も厳しくなっている中での騒動。民放関係者は「報道ステーションは若い世代に見てほしいとして4月から積極的に若い女性アナを起用している。ウェブCMも若い女性をターゲットにしたのだろうが、内容がひどすぎた」と語った。

 ▼大妻女子大・田中東子教授(メディア文化論)ジェンダーギャップ指数が153カ国中121位(2019年)という日本の悲惨な現状を解消しようと、多くの人が声を上げる中で「ジェンダー平等とかって時代遅れ」というフレーズを使うなど時代錯誤だ。「若い女性は無知で社会に興味がない」という制作者の偏見も感じる。テレビ朝日はプロセスを明らかにし、番組内でジェンダー平等について取り上げるなど、報道番組として社会的責任を取るべきだ。

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2021年3月25日のニュース