第2局明暗この一手 渡辺、勝負手3連発!永瀬の“絶品の一手”を大逆転

[ 2021年1月25日 05:30 ]

スポニチ主催 第70期王将戦7番勝負第2局第2日 ( 2021年1月24日    大阪府高槻市・山水館 )

渡辺王将VS永瀬王座(A図)                                  
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 渡辺連勝のポイントはどこにあったのか。スポニチ本紙観戦記者の指導棋士五段・関口武史が解説する。

 永瀬の初めての封じ手は▲6一桂成と大方の予想通りの一手だった。1日目と打って変わって午前中は指し手が進まない。一気の決戦策が控室の本線だったが、渡辺の△7一金で流れは緩やかに、本人が昼食時に話した「1日目は進行が早く、2日目に長い終盤戦が最近のタイトル戦傾向」という展開になる。

 渡辺の呼吸に合わせて永瀬の▲6六歩が△7八歩成を防ぎつつ、8九の地点もカバーする絶品の一手。1日目、左右をにらんだ角は自陣まで防衛する攻防の主役、まさに「八方にらみの角」である。

 さらに銀取りを手抜きで▲8四角と、今度は2枚目の自陣角が躍り出し、永瀬がリードを奪った。ここから渡辺が見せた逆転を呼び込む粘りが見応え十分。△7一銀~2五桂と逃げ道を広げたのが第1弾。桂跳ねを境に控室も一手指すごとに評価が揺れ動く熱戦へと局面がもつれていく。

 ▲6七角に対して△3七桂成~2八竜と、細かく永瀬の持ち歩と時間を削ったのが第2弾。そして△7二王(A図)が渾身(こんしん)の第3弾で、王自ら永瀬の主戦力である飛車角に働き掛け、攻め駒の一掃を狙う。

 渡辺の勝負手に永瀬が考え込む。立会人の久保九段は「2日制の残り1時間からは1分1分が本当に速く減っていく」と、永瀬の残り時間の減る様子をおもんぱかる。渡辺はさらに△8九飛、6七歩、6三王、5二王と硬軟織り交ぜ難解な局面を作り続け永瀬の持久力を消耗させていく。このプレッシャーが最終盤永瀬王座のミスを誘発し渡辺が劇的な逆転勝ちを収めた。

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