無観客プロ野球開幕戦ラジオ実況・松本秀夫アナ 「異様な雰囲気や緊張感を正直に伝える」

[ 2020年6月15日 13:00 ]

無観客プロ野球開幕戦実況に意欲を見せるフリーアナウンサーの松本秀夫
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 【牧 元一の孤人焦点】ニッポン放送「ショウアップナイター」で19日のプロ野球開幕戦・巨人対阪神を実況するフリーアナウンサーの松本秀夫(58)がインタビューに応じた。

 当日の東京ドームは無観客で、中継を盛り上げるファンの歓声が一切なく、一方で自身の声が選手らに届いてしまう可能性がある悪環境。「探り探りの実況になるでしょう。異様な雰囲気や、自分の緊張感、不安、感じたことをそのまま正直に伝えようと思います」と胸の内を明かした。

 放送ブースには新型コロナウイルス感染予防対策のアクリル板を設置。ディレクターがフェイスシールドを着用することが決まっており、さらに自身と解説の江本孟紀氏がマスクを着用するかどうか検討中という。

 「今まで開幕戦を何回も実況していますが、今回は全く違うものだと思います。当日、放送ブースに入ってみて、そこでどのように感じるのか…。今、それを想像して言葉にするのは難しい」

 ドーム内に広がる客席には、ファンの姿がない。打者が本塁打を打っても、投手が三振を取っても、野手が好守備を見せても、拍手も歓声もない。

 「アナウンサーにとって歓声は栄養剤というか生命線です。例えば甲子園球場の場合、銀傘があって、歓声がこだまして増幅するから、あそこで実況すると、自分がうまくなったような気になる。逆に、閑散とした球場は難しい。いくら盛り上がってしゃべっても、空回りしているように聞こえてしまう。アナウンサーの実力が試されるんです」

 まだ新人の頃、空席の目立つ川崎球場(当時)で実況し、投手の「ボール」の投球を間違って「ストライク!」と実況したところ、客席のファンから「ボールだよ!」と訂正された経験があるという。周囲が静かだと実況の声が響いてしまうのだ。無観客では客席どころか、ベンチやバッターボックスまで声が届いてしまう可能性がある。

 「僕の『この選手はここ何試合ヒットが出ていません』という声がバッターに聞こえちゃうのは良くない。当日、どのくらいの声の大きさで話すか、今は分からないけれど、これはまずいと感じたら大きな声は出せないでしょうね。選手たちは選手たちで、自分たちの声が放送に乗ってしまう恐れがあるので、声を抑えめにするかもしれない。お互いに声を出しにくいという負のスパイラルになる可能性もあります」

 しかし、リスナーにとっては良い点もある。日ごろ聞けない音を聞けることだ。中継では、通常ならば歓声にかき消される場内アナウンスや選手登場曲、打球音、キャッチ音などを最大限に生かすようにする方針だ。

 「球音は聞きどころです。150キロのストレートと100キロのカーブではキャッチャーミットに収まる時の音がまるで違います。バットで打った時の音も耳を澄ませば映像がなくても良い当たりかそうじゃないか分かります」

 無観客は寂しいが、コロナ禍の中のこの試合が歴史に残る戦いであることは間違いない。
 「今までとは全く違う試合を任せていただいて光栄。難易度は高いですけど、アナウンサー冥利(みょうり)に尽きます」
「伝統」と「未知」が交差する巨人対阪神の実況となる。

 ◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。

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