NHKリモートドラマ 今だから実現できた家族共演で「究極」に

[ 2020年5月29日 13:00 ]

NHKリモートドラマ「Living」で共演した広瀬アリス(左)と広瀬すず(右)(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】「究極のリモートドラマができたと思います」。NHKの訓覇圭チーフ・プロデューサーはそう話す。

 訓覇氏が制作統括したリモートドラマ「Living」(第1夜・30日後11・30、第2夜・6月6日後11・30)。15分×4本のオムニバスで、ドラマ「東京ラブストーリー」「カルテット」などで知られる人気脚本家・坂元裕二氏の新作だ。
 訓覇氏は「リモートドラマを『普通のドラマ』に見せるために、もの凄く努力しました。限界まで普通のドラマに近づけられたと思います」と強調する。

 出演者とスタッフが直接合わずに打ち合わせや撮影を行うのは過去のリモート制作と同様。事前に出演者の「プライベートな空間」に撮影機材を送った上で、離れた場所から演出する方法も同じだが、技術的な環境を最大限に整えることで通常のドラマに近い撮影を可能にした。

 そして、重要なポイントがキャスティングだ。第1話が広瀬アリスと広瀬すず、第2話が永山瑛太と永山絢斗、第3話が中尾明慶と仲里依紗、第4話が青木崇高と優香で、いずれも、姉妹、兄弟、夫婦という家族共演となった。
 訓覇氏は「一緒に過ごしている人たちだから、一緒にお芝居ができる。そういう人たちに出演をお願いしました」と語る。リモートドラマと言えば、一人ずつの映像を交互に出したり合成したりするイメージだが、この作品では家族共演ならではの自然なツーショットを実現できた。

 しかも、その映像は極めてレア。訓覇氏は「普通ならば、一番近い者同士に同じ設定で演じてもらうことなんてありません。こういう時期だから、こちらも『やってみませんか?』と頼めたし、皆さんも『やってみましょう』と出てくれた。皆さんが家族としてドラマで共演するのは初めてなので、とても貴重な映像が撮れました」と話す。
   NHKの公式ツイッターで第1話と第2話のPR映像が公開されているが、そこに漂うのは家族ならではの親密な空気感。広瀬すずは「相手もお姉ちゃんだし、ここだけの空間を楽しめたような気がします」、永山瑛太は「実際の関係性が深いので、2人の関係性を見る面白さもあると思います」と話している。

 訓覇氏は「こんな時期だからこそ、皆さんが力を貸してくれて実現できた空間とお芝居です。坂元さんの世界観、脚本も素晴らしいので、ぜひ、ご覧ください」と力を込めた。


 ◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。

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