令和元年の音楽界は二極化加速 サブスクか、フィジカルか

[ 2019年12月31日 09:30 ]

きょう大みそかにNHK紅白歌合戦に初出場するOfficial髭男dism
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 令和元年は、音楽の聴き方の二極化に拍車がかかった。

 キーワードは「サブスク」と「フィジカル」。前者は「サブスクリプション」の略称で、会員制の定額サービスのことだ。音楽系の大手サブスクはAmazon Music、Apple Music、Line MUSIC、Spotifyなど。月額料金などを払えば、その期間は各カタログにある楽曲がストリーミング再生で聴き放題となる。

 例えば、スマホから月額会員になってアプリを取り込めば、国内外のさまざまなアーティストの作品を好きな時に何度でも聴ける。CD店へ探しに行ったり、通販で購入した品の到着を待つ必要はない。PCでも聴くことは可能だが、学生層などはスマホを通してイヤホンやスマートスピーカーなどで音に接する人が多い。

 これに対して「フィジカル」とは従来のCDやDVD、レコードなどを指す。ネット上にある音(デジタルコンテンツ)とは対照的に、パッケージ化された“形のある商品”。対価を“物”に替えておかないと気が済まない人は、こちらだろう。CDジャケットの図柄を何パターンも用意したり、握手会などのイベント参加券を封入することで男女アイドルやアニメファンらを中心に根強い人気がある。

 この二極化について19年の各音楽チャートは顕著な傾向を示した。

 日本レコード協会がミリオン認定した今年発売のシングルは計6曲。AKB48の「サステナブル」と「ジワるDAYS」、乃木坂46の「Sing Out!」と「夜明けまで強がらなくてもいい」、欅坂46の「黒い羊」、BTSの「Lights/Boy with Luv」だ。CDシングルチャート、すなわちフィジカルの年間ランキングでこれに続くのが嵐、日向坂46。チャート上位は、48グループ、坂道系、韓流系、ジャニーズ事務所勢の男女4系統がほぼ独占している。

 一方、デジタルコンテンツのシングルチャート上位は様相が一変。アイドル系は一気に少なくなり、米津玄師(28)を頂点にback number、あいみょん(24)らアーティスト系がひしめく。こちらのユーザーには、CDジャケットや歌詞カード、特典などには“付加価値”をそれほど求めず、純粋に“音”に対して課金していく傾向がみられる。

 そんな中、従来型のダウンロード(DL)課金システムとは違う、ストリーミング再生のサブスクの市場は拡大。King GnuやOfficial髭男dism、Uru、Mrs.GREEN APPLEらは、サブスクでも知名度を一気に上げたといってもいい。

 お目当ての1曲ずつに課金を重ねる従来のDLは10曲聴くためには、対価も比例して10曲分にかさむ。これに対して、サブスクなら知らなかった曲や知らなかったアーティストの作品まで、定額で聴き放題。クラスメートや知人らから得た口コミ情報や、媒体から得た情報を好きなだけ「試聴」できる。だから知名度を上げたいアーティストには、格好のプロモーションツールにもなった。

 ただ、サブスクは全アーティストの曲を網羅している訳ではない。例えば、米津作品は、DAOKOとの「打ち上げ花火」やFoorinの「パプリカ」など提供曲は聴けても、米津本人が歌う「Lemon」や「馬と鹿」は選曲リストには無い。デジタル配信をリリースの軸としながらも、サブスクとは一定の距離を置くアーティストたちはそれなりにいる。

 また、ピエール瀧(52)の薬物事件では関連作品がカタログから外されたため、電気グルーヴの楽曲が大手のサブスクでは現在も聴けない状況が続く。このため、「CDで持っていたら、もしくは課金でダウンロードしていたら、今も聴けたのに」という声も聞かれるなど、ストリーミング再生の性質も露呈した。

 街からCD店が姿を消す中、2020年は音楽のデジタルリリースがさらに進むだろう。ジャニーズ事務所が今年、嵐らの楽曲配信を始めたのは象徴的だった。そんな中、各サブスクも今後、どこまでの数のアーティストを網羅して、どれほどのカタログを保有できるかが、泣き笑いの分岐点となってくる。

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