将棋ユーチューバー折田翔吾アマ、プロ編入試験白星発進「いいスタートが切れた」

[ 2019年11月25日 18:17 ]

棋士編入試験5番勝負の第1局に臨み、黒田尭之四段に98手で白星発進した折田翔吾アマ
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 将棋の元奨励会員で、将棋ユーチューバー「アゲアゲ」として活動する折田翔吾アマ(30)が25日、大阪市の関西将棋会館で棋士編入試験5番勝負の第1局に臨み、試験官の黒田尭之四段(23)に98手で勝ち、白星発進した。

 先手黒田が初手で端歩を突く意表の出だし。四間飛車に構え、さらに端歩を伸ばした黒田に折田アマが反発するように突き返して戦闘が始まった。戦線拡大した黒田に折田アマは眠っていた角を活用し、角交換に持ち込んで形勢に差がつきだした。飛車を成り込んで挟撃態勢を整え、無難に寄せ切った。

 「ようやく始まったなという感じ。ようやく将棋が指せる」。折田アマは気持ちをしずめるように切り出し、角交換については「懸念だった大駒が使えた。調子いいのかな」と手応えを感じたという。

 「思ったより眠れなかった」と振り返った前夜。異変はこの日朝にもあった。

 対局前に駒を並べる際、折田アマは大橋流では玉、左金、右金、左銀…と左右対称に並べた後、角、飛車として歩へ移るが、角、飛車より先に歩を並べようとしたという。

 「緊張している。こういう舞台だからいつもと違う自分なのかな」。それでも初戦を制し「5番勝負では初戦が大事。いいスタートが切れたのかなと思う」と手応えを感じていた。

 折田アマはプロ入りの2枠を争う奨励会三段リーグに5年間10期在籍したものの力及ばず、16年3月に26歳の年齢制限で退会。その後は将棋講師として活動しながら、ユーチューブに「アゲアゲ将棋実況」というチャンネルを持ち、自身のネット対局に解説を加えた動画などを投稿。登録者数は3万人を超える。

 奨励会以外にもう一つ、棋士になる道はある。アマ棋戦で好成績を収めれば、棋士が出場する公式戦に参戦できる。そこで「10勝以上」かつ「勝率6割5分以上」を挙げれば、棋士編入試験を受験できる。折田アマは8月の対局に勝ち、10勝2敗として受験資格を満たした上で9月、受験を申し出ていた。

 棋士編入試験が行われるのは1944年の故花村元司九段、2005年の瀬川昌司六段(49)、14年の今泉健司四段(46)に続いて4人目。花村と瀬川は特例での実施で、試験が制度化されてからは今泉に続く2人目。対局があった同会館では大盤解説会も実施され、タイトル戦や藤井聡太七段(17)の対局級の注目度を示した。

 「きょう指した経験を生かして次も頑張りたい」。折田アマは残り4局で2勝を目指す。

<第2局以降の棋士編入試験>
▼第2局 出口若武四段(12月23日、関西将棋会館)
▼第3局 山本博志四段(20年1月27日、東京・将棋会館)
▼第4局 本田奎四段(20年2月25日、東京・将棋会館)
▼第5局 池永天志四段(未定)

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2019年11月25日のニュース