渡辺棋王、久保王将に挑戦権!糸谷八段撃破 “逆襲一気”4連勝

[ 2018年12月4日 05:30 ]

糸谷八段(手前)を下し感想戦で振り返る渡辺棋王(撮影・荻原 浩人)
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 将棋の第68期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)挑戦者決定リーグ戦は3日、東京都渋谷区の将棋会館でプレーオフを行い、渡辺明棋王(34)が126手で糸谷哲郎八段(30)を下した。来年1月開幕の7番勝負では2連覇中の久保利明王将(43)と対戦する。

 したたかな勝利にも、渡辺は感慨を隠せない。「大変なリーグ戦なので、あまり(7番勝負への)挑戦は考えてなかったんです」。2度の王将位をはじめ、タイトル計20期を誇る強豪には似合わない弱気な告白の一方「リーグ戦の後半からうまい具合に星が伸びてくれました」と振り返った。

 怪物の異名を持つ糸谷との決戦は振り駒で後手に。居飛車同士の対局では先手が有利と言われる昨今にもかかわらず、策士は冷静な対応策を準備していた。角交換から糸谷が早繰り銀戦法を選択した直後の22手目、ノータイムで同じく早繰り銀をぶち当てる。

 「作戦でした」と渡辺。この一手が相手にかすかな動揺を与えた。「経験したことはあるのですが、途中から構想が分からなくなって」と苦虫をかむ糸谷は得意の早指しに持ち込めない。気がつけば不利なはずの後手が終始主導権を握っていた。

 終盤は慎重に指し進む場面もあった渡辺だが「大駒を切っていく寄せなので、自王の頓死筋とかを警戒していたんです」という。最終手の7五桂で金銀両取りと畳みかけ、持ち時間(各4時間)を48分余しての会心譜となった。

 王将戦7番勝負には4期ぶりの復帰だ。前回の15年は郷田真隆九段(47)相手にタイトル防衛寸前まで進みながら痛恨の詰み逃しで失冠。昨年度は竜王も失い、順位戦A級からも陥落するなど低迷した時期もあった。だがB級1組では開幕以来破竹の8連勝。王将戦挑戦者決定リーグ戦でも1勝2敗と追い込まれながら、この日のプレーオフ含め4連勝だ。

 「うまい巡り合わせになりました」。タイトル戦で久保と対するのは11年の棋王戦で1勝3敗と敗退して以来2度目。右肩上がりの流れに乗って大舞台に乗り込もうとしている

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2018年12月4日のニュース