日テレ「獣になれない私たち」 松本京子P「おうちに帰りたくなるドラマ」目指す

[ 2018年10月15日 10:30 ]

日本テレビドラマ「獣になれない私たち」でダブル主演している新垣結衣(右)と松田龍平
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 【今秋のこの1本 民放敏腕プロデューサー(1)】テレビは新番組がめじろ押し。話題作が満載で、まさに実りの秋を迎えています。番組をより一層楽しむため、15日付から民放各局の敏腕プロデューサーに制作の裏側や秘話を聞く連載をスタートします。第1回は日本テレビの連続ドラマ「獣になれない私たち」(水曜後10・00)の松本京子プロデューサー(44)です。

 新垣結衣(30)と松田龍平(35)がダブル主演する「獣になれない私たち」は「ラブかもしれないストーリー」がキャッチコピー。「かもしれない」と曖昧なのはドラマのお約束を排除し、むしろ現実を描くことを念頭に置いているからだ。

 松本プロデューサーは「男女が出会った瞬間に一目ぼれして恋に落ちるとか、若手社員が上司に“間違ってます”と糾弾するとか、現実にはなかなかないじゃないですか」と指摘。「我慢しない、言いたいことを言うのがドラマの主人公に多いけど、今作は(現実離れすることなく)本当に等身大の主人公」と語った。

 仕事に忙殺され、彼氏との関係性も微妙なOLの晶(新垣)、エリート会計士で私生活では毒舌の恒星(松田)。普段は本音を言えずに生きている男女が、クラフトビールバーで少しずつ本音を明かすようになる。2人が恋愛関係になるかどうかだけがポイントではなく「ラブってどんな気持ちなんだっけ、そもそもラブって必要なんだっけといったふうなことを、仕事や家族などいろんな環境で頑張る人たちの中で描いています」と説明する。

 98年に入社してから17年間、バラエティー番組の制作一筋。「世界の果てまでイッテQ!」「笑神様は突然に…」などの人気番組を立ち上げ、4年連続で年間視聴率3冠王となっている日テレの礎を築いた。その立場にいながら言い続けたのは「ドラマを作りたい」だった。「企画募集がなくても、勝手に企画を送り続けていた。“本気でやりたいんだな”と思わせるようなガッツは、バラエティーにいたからかな」

 15年、念願かなってドラマ担当に。最初に手がけたのが、新垣と今作の脚本家でもある野木亜紀子氏による「掟上今日子の備忘録」。今作で4度目のタッグとなる2人については「互いに信頼し合っているから、良い作品になるのだと思う」と手応えを得ている。

 目指すのは「おうちに帰りたくなるドラマ」。テレビっ子だった自身がそうだったように放送時間に間に合うように家に帰って見てほしいと願う。録画機能の向上や見逃し再生の広がりもあって、そうした若者は減った。そんな時代だからこそ「リアルタイムで見て友達とツイッターでつぶやき合いたい、というぐらい熱が上がるドラマを作りたいです」と力を込めた。

 ◆松本 京子(まつもと・きょうこ)1974年(昭49)9月24日生まれ、東京都出身。98年、日本テレビ入社。制作局でバラエティー番組の担当を長く務め、15年からドラマ担当。手がけたドラマは「時をかける少女」「天才バカボン」など。

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