大杉漣さん遺作「バイプレイヤーズ」最終回 脚本1日で変更し一丸完成 勇姿&友情にネット涙と笑い

[ 2018年3月7日 21:54 ]

テレビ東京「バイプレイヤーズ〜もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら〜」最終回の1場面(左から大杉漣さん、遠藤憲一、田口トモロヲ、光石研、松重豊)。ラテ欄の告知「大杉漣への恩返し!撮影中止の危機救え」が実現した感動のシーン(C)「バイプレイヤーズ2018」製作委員会
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 2月21日に急死した俳優の大杉漣さん(享年66)が出演し、亡くなる約7時間前まで撮影していたテレビ東京の連続ドラマ「バイプレイヤーズ〜もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら〜」(水曜後9・54、全5話)が7日、最終回を迎えた。約7割の撮影を残していた最終回だが、大杉さんが撮影の合間にギターやハーモニカを奏でるオフショットを挿入するなどして、タイトな日程の中、見事、完成にこぎ着けた。大杉さんの“最後の勇姿”にインターネット上には「大杉漣記念館ネタで、わちゃわちゃ話してるだけで泣けてくる」「漣さんがハーモニカを吹く姿がカッコよすぎて泣く。もう笑おうと思ってたのに泣きっぱなし」などと涙の書き込みが相次ぐ一方、大杉さんは冒頭、亀のコスプレで視聴者の爆笑も誘った。

 サブタイトルは「バイプレイヤーより愛をこめて」。

 第1話の遠藤、第2話の松重、第3話の田口、第4話の光石に続き、最終回は当初から大杉さんが物語の中心。前作からメーンライターを務め、最終回を執筆した脚本家・ふじきみつ彦氏(43)は急きょ行われた脚本会議を経て、内容を修正した。撮影済みだった約3割のシーンは必ず生かすことを前提に、練り直し。次の撮影が迫っていたため、脚本直しはほぼ1日で終えた。

 名脇役たちが本人役を演じているとはいえ、フィクション。大杉さんが仲間との長年の絆の末に「たどり着いた寄港地みたいな作品」と表現し、愛してやまなかった「バイプレイヤーズ」をドラマとして完成させたい――。それが、チーム全員の思いだった。

 前作からメーン演出を務め、最終回を担当した松居大悟監督(32)も今月4日夜に自身のツイッターで「(最終回が)完成しました。音の仕上げチーム。そして、この(編集スタジオの)地下にいる絵の仕上げチーム。4日間帰れなくても、楽しいドラマを作ってくれたポスプロ(ポストプロダクション)の熱きバイプレイヤーズ」と明かすなど、厳しいスケジュールの中、キャスト・スタッフが一丸となり、総力を結集した。

 ドラマは約1年ぶりの復活となり、深夜枠(金曜深夜0・12)の40分枠からプライム帯(午後7〜11時)の1時間枠に昇格。昨年1〜3月に放送された前作「〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜」に続き、大杉さん、遠藤憲一(56)田口トモロヲ(60)松重豊(55)光石研(56)が出演。寺島進(54)はスケジュールが合わず、今作は休んだ。

 前回は、6人が共同生活を送る“おじさんだらけのテラスハウス”として話題に。今回は、テレ東制作の朝ドラ「しまっこさん」で共演することになった5人がロケ地を間違えて無人島に流れ着き、サバイバル生活を強いられる。何とか助かり、島の廃屋“島ハウス”で共同生活をしながら「しまっこさん」の撮影に臨む姿をユーモラスに描いた。

 最終回、5人は一足早く「しまっこさん」の3カ月の撮影を終了。大杉さんだけが島に残り、4人は帰京。大杉さんは全体のクランクアップのため、裏方として撮影を手伝った。

 「しまっこさん」のヒロイン・花崎志麻子を演じる本田望結(13)が閉校式で“島っこ唄”を歌うラストシーン。雨を降らすが、ホース1本しかなく、うまくいかない。雨なしに変更しようとした時、突如、散水車が校庭に。前作のオープニングテーマ、10―FEET「ヒトリセカイ」に乗り、遠藤、田口、松重、光石が現れた。

 大杉さんは4人とハイタッチ。散水車とスタッフジャンパーの“差し入れ”に現場は大喜び。この日のラテ欄の告知「大杉漣への恩返し!撮影中止の危機を救え!」の通り、4人が大杉さんを助けにやってくる感動の展開となった。

 劇中に登場した「大杉漣記念館」がトレンド入り。SNS上には「全力でおかしくて笑えて、同時に胸の奥がギュッとして、最後の1分1秒まで見事に『バイプレイヤーズ』でした。最終回という形をきちんと作り上げ、放送してくださって、ありがとうございました」「最初からこういうストーリーだったとしか思えないほど違和感のないストーリーでビックリ。編集のうまさ、そして漣さんが亡くなってからも変わらないバイプレイヤーの面々たちの演技。プロフェッショナルって、こういうことか…。笑えるのに泣ける。最高の喜劇をありがとう」などと感謝の声が続出した。

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