「コロコロコミック」の販売中止、チンギスハン落書き問題受け

[ 2018年3月7日 05:30 ]

先月26日、小学館前で「月刊コロコロコミック」にチンギスハンを侮辱する漫画を載せたとして、抗議する在日モンゴル人ら
Photo By 共同

 小学館は6日、漫画誌「月刊コロコロコミック」3月号にモンゴルの英雄チンギスハンの肖像画に侮辱的な落書きをした漫画が掲載されて問題になったことを受け、同誌3月号の販売中止を発表した。先月15日から販売されているため、書店に返品を求め、購入者も返品を希望すれば代金(税込み530円)の払い戻しに応じる。問題になった漫画は吉野あすみ氏の「やりすぎ?イタズラくん」。小学館によると、同作は別冊コロコロコミックで連載中。「月刊コロコロ」3月号には「出張読み切り」として掲載された。

 侮辱的な落書きを描写したことの波紋が広がり、在日モンゴル大使館が2月23日、日本外務省に抗議。小学館が同国のバッチジャルガル臨時代理大使に謝罪した。モンゴル出身で大相撲の元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏もツイッターで「先祖バカにするおまえら」「品格がない日本人」などと憤りを表明。モンゴル人団体が東京都千代田区の同社前で抗議デモを行う事態に発展した。

 書店大手も販売取りやめが相次いでいた。くまざわ書店によると、2月26日に一部店舗にはモンゴル人客から「雑誌を販売しないでほしい」と直接抗議があった。同日から紀伊国屋書店が全店舗で販売を取りやめており、くまざわ書店は「周りの反応や他の書店との足並みをそろえるため」として翌27日から同様の対応を取った。

 小学館広報室は販売中止の理由について「チンギスハンを敬愛する方々にあらためて深くおわびし、書店での混乱を避けるため」としている。「イタズラくん」の別冊コロコロでの連載は今後も継続する考えだという。作者の吉野氏は同社の公式サイトで「モンゴル国の歴史と文化について不見識だったことを深く反省し、今後はさまざまな国の歴史と文化を深く理解し尊重する表現を心がけていきたいと思います」と謝罪した。

 ◆チンギスハン 1162年にモンゴルの有力な遊牧民の部族に生まれる。大小の集団に分かれて抗争していたモンゴルの部族を一代で統一。1206年に統一者「ハン」の位に就き、「モンゴル帝国」を開いた。1227年、出征中に病死。帝国はその後も拡大を続け、最盛期には中国や東欧、中東など地球の陸地の約25%を統治した。

 ▽コロコロコミック 1977年に創刊。毎月15日に発行。平均発行部数は84万部。1冊約780ページ。「ドラえもん」や「学級王ヤマザキ」などのアニメ化もされた作品や、「ポケットモンスター」や「妖怪ウォッチ」など、ゲーム発売とほぼ同時期に連載した作品が人気を博した。過去には川崎のぼる氏、赤塚不二夫氏、永井豪氏ら少年誌や青年誌の有名漫画家も執筆。ミニ四駆やベイブレードなど、玩具ブームをたびたび起こした。

続きを表示

2018年3月7日のニュース