地域の目が子どもを守る…それでも「見守り活動」を続ける人々

[ 2017年5月3日 10:30 ]

 千葉県でベトナム国籍の同県松戸市立六実第二小3年レェ・ティ・ニャット・リンさん(9)が遺体で見つかった殺人・死体遺棄事件で小学校の保護者会長が逮捕されたことを受け、松戸市だけでなく、近隣自治体には動揺が広がり続けている。

 死体遺棄容疑で逮捕された渋谷恭正容疑者(46)は事件発覚後も、入学式では保護者会長としてあいさつ。見守り活動も続けていた。松戸市に隣接する鎌ケ谷市の小学3年の娘を持つ父親(44)は「容疑者が逮捕されたが、うちの地区では事件前より見守りをする人が増えている。当事者意識を持つようになったのでは」と話した。

 子どもにとって身近な人物の逮捕に、遺体発見現場の我孫子市の小学生の保護者からは「防ぎようがない」「家族しか信用できない」との声も聞かれた。見守り活動への信頼が揺らぎかねず、地域が受けたショックは大きいが、同市で見守り活動をする男性(72)は「もっと地域、保護者らとコミュニケーションをとってやっていきたい」と今後も活動を続ける方針だ。

 一方、松戸市は4月末、「緊急特別警戒体制」を解除。再発防止と市民の安全、安心を目的に市内の自治会、町会、市民団体など約1400団体に呼びかけ、登下校時の見守り強化やパトロールの実施などに取り組んできたが、容疑者の逮捕などを受けて解除を決めた。

 市は引き続き、「青色パトカー」によるパトロールなどの防犯対策強化を進めるとしているが、いずれにしても「信用」「信頼」が第1になってくる。「信用」「信頼」を築くのに一番大切なのは顔と顔をつき合わせての交流だと思う。近所付き合いが希薄になったといわれて久しいが、もう一度、町会や自治会の活動に目を向ける必要がありそうだ。

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2017年5月3日のニュース