かまやつさんと共に…ザ・スパイダース“再結成”ライブ

[ 2017年5月3日 05:30 ]

かまやつさんを偲んで演奏するスパイダースのメンバー。(前列左から)加藤充、堺正章、井上順、井上堯之、(後列ドラム)田辺昭知、(後列キーボード)大野克夫
Photo By 代表撮影

 膵臓(すいぞう)がんのため3月に死去した歌手のムッシュかまやつ(本名釜萢弘=かまやつ・ひろし)さん(享年78)のお別れの会が2日、都内のホテルで行われ、芸能人や関係者約1000人が献花した。かつて所属したグループサウンズ(GS)の「ザ・スパイダース」が11年ぶりに結集し、明るいジョークと生演奏で手向け。かまやつさんを師と仰いでいた松任谷由実(63)も駆けつけ歌唱する“音楽葬”となった。

 06年8月に行われた、ボーカルの堺正章(70)の還暦祝賀パーティー以来となるスパイダースの復活。冒頭で6人は65年のデビュー曲「フリフリ」を奏でた。約11年ぶりのアンサンブルは、GS期のメンバーで初めて天に召された伊達(だて)男のために鳴らされた。

 「偲(しの)ぶ会と言うには、時間がたってない。お別れ会と言うには未練が残る。“かまやつひろしと共に”という意味合いで進めていければ」。堺の言葉通り、確かにそこにかまやつさんはいた。

 堺とかまやつさん、ダブルボーカルの井上順(70)を中心にした、歯に衣(きぬ)着せぬ軽妙なトーク。そして他のGSと一線を画す欧米的なサウンド。かまやつさんが築いた世界観を6人は遺憾なく発揮した。

 「サマー・ガール」演奏後、堺がすかさず「この歌も、かまやつさんの作詞作曲。海外によく似た曲がございます」と笑いを取った。傑作と評価の高い「ノー・ノー・ボーイ」ではブランクを感じさせない演奏を披露。かまやつさんの代名詞とも言える名曲「バン・バン・バン」も激しく演奏した。

 それでも、舞台にいるのは7人ではなく6人。堺と井上順は舞台で「フリフリ」のジャケット撮影にかまやつさんが遅刻し6人で写った思い出話に花を咲かせたが、当時と違い、かまやつさんは“早退”してしまった。決定的な違いは、かまやつさんがズレた調弦のギターで奏でる常識外れのコード進行がないこと。ギターの井上堯之(76)が「演奏しやすかった」と冗談めかし、堺も「確かに僕も、歌いやすかった」と軽口で応じたものの、2人は「実際に演奏してみて、ムッシュのサイドギターは非常に大きな存在だった」と本音をのぞかせた。

 色あせぬ、かまやつさんの世界を慈しむように会の最後は芸能界の後輩や若手を含め1000人が、68年のヒット曲「あの時君は若かった」を大合唱。「どうにかなるさ」を歌う、かまやつさんの肉声も流された。リーダーのドラムス田辺昭知(78)、オルガン大野克夫(77)、ベースの加藤充(83)を含め、グループは平均年齢75・6歳。舞台では「次は誰かが死んだときだな」と会話が交わされた。“もうすぐ行くよ。また7人でやろうな”。かまやつさんへの思いが垣間見えた。

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2017年5月3日のニュース