【ひよっこ6大ポイント(5)】道具は「本物」にこだわり

[ 2017年4月29日 10:30 ]

奥茨木村の聖火リレー大会のシーンで聖火トーチを持つ有村架純
Photo By 提供写真

 登場する道具は、本物にこだわっている。それゆえに撮影現場で展開されているのが、異色の光景だ。

 第3週(4月17〜22日)で放送された、奥茨城村の独自の聖火リレーのシーンでは、NGが出るとスタッフが火の付いたトーチを持ち、とにかく遠くへ走り去った。時には「風向きが変わった!別の方向へ走れ!」という無線の声が響き、急いで方向を変えたことも。

 この聖火トーチは“本物”。1964年の東京五輪で使用された弾薬メーカー「日本工機」(本社・東京都港区)が製造したもの。同社では「改良はしていますが、当時のトーチと基本同じです」と話している。

 制作統括の菓子浩氏は「聖火トーチは火薬を扱うこともあり、独自で作るのが難しいので、実際作っている会社に問い合わせました。すると当時と同じモデルが残っていることが判明し、使用させていただきました」としている。

 東京五輪では、当時の組織委員会が「雨でも風でも絶対に消えないトーチを作ってほしい」と依頼した。撮影現場では「点火すると勢いよく炎が上がり、5秒ぐらいで煙が立ち上った」(ドラマ制作側)。途中では消せず、リンなどの含有物が空気に触れると発火する恐れがあるため、完全燃焼させないといけないが、火の付いたトーチが近くにあると、画面に煙が入ってしまう。「そのため、風向きを見ながらできるだけ遠くに走っていました」と菓子氏は話す。関係者は「その場では真剣なので普通のことと思っていましたが、後から思うと面白いですよね」と笑顔だ。

 宗男おじさん役の峯田和伸(39)が乗っているバイクは1962年に発売開始され、64年に製造中止された「ホンダ ポートカブ」。峯田は「エンジンをかけるのが難しいんですよ」と苦笑い。ロケ地を報道陣が取材した時も「キュルルキュルキュル…ブスッ」と音を立ててエンスト。照れくさそうな笑みで場を和ませた。

 撮影用の400台近い車両がそろう「マエダオート」(東京都世田谷区)から制作側が借りたもの。峯田は「(乗っていて)自分の加減と機械が合致する時がある。そういうのが昔の国産バイクの良いところかなと思いますね」と操縦を楽しんでいる。

 放送はされないが、裏側にある和やかなムードが作品を支えている。

 <バスも当時のまま>村の人々が利用するシーンで登場するバスは「NPOバス保存会」(茨城県つくば市)のもの。1967年から1970年代まで実際に山形交通で路線バスとして走り、その後、観光路線などでしばらく使われた「いすゞTSD40型ボンネットバス」。走っていた状態のままで保存されており、塗装も当時のままだ。担当者は「年配の山形出身の方には懐かしいと思われているようです」と話している。

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