「真田丸」有楽斎役の井上順 三谷氏と運命の出会い 車ゲットされた

[ 2016年11月27日 08:00 ]

大河ドラマ「真田丸」で織田有楽斎を演じる井上順(C)NHK
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 NHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)で織田信長の弟・織田有楽斎を老かいに好演するタレントの井上順(69)。脚本の三谷幸喜氏(55)とは旧知の間柄で、第42話「味方」(10月23日放送)から満を持して登場し「北条時宗」(2001年)以来15年ぶりの大河出演を喜んだ。三谷氏との運命的な出会い、そして“三谷ワールド”への熱い思いを明かした。

 1970年に解散したグループサウンズ「ザ・スパイダース」のメンバーで、コメディアンや俳優としてマルチに活躍。三谷氏の映画監督デビュー作「ラヂオの時間」(97年)にも出演し、自身が第3代目男性司会者を務めたフジテレビ「夜のヒットスタジオ」(76年~85年)を彷彿させるキャラクターを演じて話題になった。

 2人の出会いは今から約20年前にさかのぼる。井上が毎年行っているクリスマスディナーショーが15周年を迎えた際、クイズ企画が催され、景品に車が用意された。「車を用意して、絶対に当たらないクイズをやろうとしたの」。1927年、米飛行家チャールズ・リンドバーグがプロペラ機でニューヨーク・パリ間を飛び、大西洋単独無着陸飛行に初成功したが「誰も分からないだろうと思って『じゃあ、この飛行機の名前は何でしょう?』と心の中でニヤニヤしていたんです」と当時を回想した。

 「そうしたら『ハイ』と言うのがいるんだよ。『恥かいちゃうかな』なんてステージ上で言葉を交わしたりしていたんですが…当たっちゃったんですよ。『スピリット・オブ・セントルイス』という飛行機なんですがね。こっちはがく然としちゃってさ。車ゲットされてしまって…」。その難問クイズに正解し、見事、車を手に入れたのが若き日の三谷氏だった。

 その後は出会うことのなかった2人だが、ある日、井上が友人に誘われて当時話題になっていた舞台を観劇。それが、三谷氏主宰の劇団「東京サンシャインボーイズ」の「ラヂオの時間」(93年)だった。ラジオドラマを生放送するラジオ局を舞台にしたコメディーで「うおぉ。おもしろいな。こういう劇団もあるんだ」と強烈な印象を受けたという。

 しばらくすると、映画「ラヂオの時間」の製作委員会から出演オファー。「その時に三谷さんと会って『覚えていますか?』と言われたんです。『覚えていませんよ。どこで会いました』と聞いたら『私、車ゲットしました』と。『あなたでしたか』ということになって『実は三谷さん、僕は“ラヂオの時間”を観に行って…』と言うと、今度は三谷さんが『観に来てくれたんですか』と驚かれて」。運命的な出会いだった。

 以降「いろいろなところで会って『また何かやりましょう、順さん』『三谷さん、口ばっかりだね』と、このやり取りばかりだったんです。だから今回、『真田丸』の出演オファーが来た時はとてもうれしかったですよね」と改めて三谷作品への出演を喜んだ。

 「真田丸」で繰り広げられる“三谷ワールド”について「家族愛もあり、兄弟愛もあり、友情もある。そういうものがいろいろなところで垣間見られて、主役じゃない人たちがいいシーンをいっぱい作っているんです。逆に言うと、そういう人たちが影の主役かも分からない。これが三谷ワールドじゃないかなと僕は思うのね」と分析した。

 「何回も一緒にお仕事をする方もいれば、1回だけの方もいらっしゃるわけじゃないですか。だから、こうやってお声を掛けてくださって、また一緒に三谷ワールド浸れるというのはとってもうれしいですよ。その中で、お邪魔にならない程度にお役に立てたらうれしいなと思っております」。大坂城内で暗躍する有楽斎もまた“三谷ワールド”を盛り上げる“影の主役”の1人かもしれない。

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