平幹二朗さん 死去前夜に孫抱き「幸せ」団らん

[ 2016年10月29日 05:30 ]

報道陣に向けあいさつする平岳大
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 23日に自宅で亡くなっているのが見つかった俳優平幹二朗さん(享年82)の葬儀・告別式が28日、東京・青山葬儀所で営まれた。俳優仲間や芸能関係者ら約600人が参列。元妻で女優の佐久間良子(77)も前夜の通夜に続き弔問に訪れた。

 長男で俳優の平岳大(42)が喪主としてあいさつ。「いつか自分も“生前、父は…”と言う日が来ると思っていましたが、こんなに早く来るとは思っていませんでした」と話した。

 平さんの死去について、岳大が口を開くのはこの日が初めて。家族にとってあまりにも唐突な死だったことを、言葉を選びながら弔問客の前で明かした。亡くなった前日の21日、平さんと一緒に、岳大の双子の妹が9月に出産した第2子の男児の顔を見るために、妹の家を訪れた。赤ちゃんに慣れない平さんは、「遠くの方から不思議そうに子供の顔を見ていた」という。しばらくすると「太くて繊細な手で赤ん坊を抱きかかえ」、哺乳瓶でミルクをあげてあやし始めたという。「気を良くしたのか、その晩、父は大好きなワインをたくさん飲みました。そして、今まで僕と妹とできなかった家族の会話をたくさんしました」と振り返った。

 岳大は酔った平さんを家に送り、ベッドに座らせ「もう飲むなよ」と伝えた。すると平さんは「岳(たけ)、もう帰りなさい」と笑ったという。これが親子が交わした最後の会話となった。

 俳優として名声を得たが、1984年の佐久間との離婚後、家族とは疎遠だった。最後に訪れた息子と娘と孫との団らん。岳大は、「父は幸せだったと思います」と語った。

 出棺の際には代表作の舞台「王女メディア」の音楽が流れた。ファンからは「平さーん、愛をありがとう!」と別れを惜しむ声と拍手。岳大は弔問客に一礼し、位牌を大事そうに抱えて霊きゅう車の助手席に乗り込んだ。

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