歌丸、涙の「笑点」卒業 放送開始から50年「最後に堰が切れて…」

[ 2016年5月23日 05:30 ]

笑点引退会見で記念撮影する桂歌丸(前列左から2人目)

 落語家桂歌丸(79)が22日、日本テレビ「笑点 歌丸ラスト大喜利スペシャル」の生放送で司会を務め、番組を卒業した。1966年5月15日の初回放送からレギュラー出演。「50年間ありがとうございました」と視聴者に感謝した。後任の新司会者は春風亭昇太(56)と発表。歌丸は「昇太さんなりの司会をしてください」とエールを送った。

 放送直後、観客へあいさつした時、思わず涙があふれた。その後の会見で歌丸は「お恥ずかしいことに、最後に堰(せき)が切れてしまいました」と照れ笑いした。

 「笑点だから最後も笑ってやろう」と出演者に呼び掛けた。途中までは座布団を大盤振る舞いしたが、最後の回答で全員の座布団を取り上げて、爆笑を誘って自身の50年の幕を下ろした。

 1966年5月15日からレギュラーを務めてきた。「落語を教えてもらったのは師匠だけど、笑点は顔と名前を売ってくれた。恩人です」。近年は休養に追い込まれることも増えた。14年5月の肺気腫と肋骨骨折、15年7~9月の腸閉塞(へいそく)による長期入院などが続いた。体力的に厳しい状況に陥りながらも「(司会を務めることは)自分に課せられた責任」として、必死に番組を支え続けた。ただ、50年という区切りに自身の体力と相談して降板を決断した。

 新たなスタートとなるが、現在は「落語以外のことは考えていない」という。「80歳目前となると覚えも悪くて稽古も苦しい。それでも必死にやらないと。今度は落語をやることが責任です」。

 番組から「終身名誉司会」という称号を与えられ、直前放送の5分番組「もう笑点」には今後も出演する。「夢はいつか収録を一番前の席で見ること」と言うと、共演者は一斉に「やりづらいよ」。最後まで笑点らしい笑いを貫いた。29日の生放送で新メンバーが発表される。

 ◆桂 歌丸(かつら・うたまる)本名・椎名巌(しいな・いわお)。1936年(昭11)8月14日、神奈川県生まれの79歳。51年に古今亭今輔に入門。64年に現在の桂歌丸に改名。68年に真打ち昇進。04年には落語芸術協会の会長に就任した。出囃子(でばやし)は「大漁節」。07年に旭日小綬章を受章した。

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