寺島しのぶ 蜷川幸雄さんから「おまえはブス」灰皿と靴と罵声も

[ 2016年5月12日 21:10 ]

寺島しのぶ

 女優の寺島しのぶ(43)が12日、この日亡くなった演出家の蜷川幸雄さん(享年80)を追悼した。

 所属事務所を通じてファクスを送付。「感謝しかないです。思いっきり本音が言い合える人がまたいなくなってしまた。でも頂いた言葉は私の細胞に植え込んであります。書いている間も涙で字が見えません」と悲しんだ。

 「正直何から話していいのか分かりません。ただただ涙が止まりません」と切り出し「19歳で主役に抜擢していただいたこと、そこで容赦のない灰皿と靴と罵声が飛んできたこと。私も生意気だったから、突っかかっていったこと。『おまえはブスだから、誰もが黙る演技を身に付けろ』と言われたこと。要求の芝居に答えられず『おまえなんか死んじゃえ』と言いながら目の前で胃薬飲まれたこと」と思い出を振り返った。

 時は流れ、寺島は2010年2月、映画「キャタピラー」でベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞。かつては自身を罵声した蜷川さんだったが、受賞時、舞台「血は立ったまま眠っている」のカーテンコールを同映画祭の授賞式に演出してくれた。

 同舞台の千秋楽で『もうおまえは面倒くさいから、たまに会う愛人でいいから、しばらくは(舞台は)ないな』と言われたといい「私もなんだか『これが最後になるかも』と自覚していた」という。

 蜷川さんの80歳の誕生日には埼玉に出向き、一番にプレゼントを渡した。「私だって認識してくれてたかなぁ。認識してくれてなくてもいい。今ある私は完ぺきにあなたのおかげです。冥福なんてお祈りしません。だって、まだまだやりたいものをまた、違う世界でやるのでしょうから」と独特の表現で悼んだ。

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