オリジナルドラマなぜ減った?原作ものと違う「先が見えない面白さ」

[ 2016年2月27日 09:00 ]

「家族ノカタチ」に出演する(左から)西田敏行、荒川良々、千葉雄大(C)TBS

 かつてはドラマと言えばオリジナルドラマが主流だったが、今やマンガや小説を原作とした作品が過半数を占める。なぜ潮流が変わったのか、そして違いはどこにあるのだろうか。

 具体的な数字で言うと、今年1月クールの民放の連続ドラマは36%。一方、20年前の96年1月クールは78%がオリジナルドラマだった。年やクールによって多少のぶれはあるものの、オリジナル作品が減少傾向にあることは確かだ。

 ドラマウォッチャーの北川昌弘氏は「出演者を確保する説得材料として、ちゃんとした原作が必要」「どんな話で、どの役、どんな役をやるのか、説明できることが大事。判断材料として原作がある方がわかりやすい」とテレビ局が俳優へオファーする際に原作があるメリットが大きいと主張した。

 TBSで「S―最後の警官―」「アルジャーノンに花束を」(ともに原作あり)「ATARU」(オリジナル)などのプロデュースを務めた同局の韓哲氏は「先が読めない面白さよりも、品質保証が最後までされている方が安心して見られる。我々作る側の方なのか、見る側の方がそう思っているか分からないが、いずれにしてもそういう空気感みたいなものがあるのかも」と分析する。

 どちらも経験したことがある韓氏はそれぞれ難しさがあると説明する。原作ものは世界観が完成されており、物語の骨となる部分を頼ることができる点は作品づくりで大きなアドバンテージとなるものの「原作がある分、映像化する時のハードルが高い」。例えば「S―最後の警官―」は「2次元の世界では障壁にならない部分が3次元では小さなことから大きなことまで障壁がものすごいたくさんあった」と振り返り「でも原作のファンの方々もいる、原作の方々の取材に裏打ちされた思いもある。それを全部、背負っていかなければいけない」と苦労を語った。

 一方、オリジナル作品はゼロからストーリーを作り上げることに一番エネルギーを使うという。ただ、話の幹となる部分ができると「とても自由で、キャラクターをいろんな想像力で自由に広げていける」「そこは大変さから今度は面白さへ変わっていく部分で、その質の面白さが原作のある作品と違うなってことはすごく感じる」と醍醐味を口にした。

 現在、韓氏がプロデューサーを務めるTBS日曜劇場「家族ノカタチ」(日曜後9・00)は「結婚なんてしない」という信念の主人公を考えていた韓氏と「家族の物語を描きたい」と思っていた脚本家の後藤法子氏の意見がかみ合うことで作品の幹が出来上がった。

 配役を考える時は、出来上がった役に俳優を当てはめていくというよりも、俳優とキャラクターを同時に思いつくこともあった。中でも結婚しないと固く心に誓った主人公・永里大介を演じるSMAPの香取慎吾(39)については「本当に等身大というか。もしかしたらこういう面がご本人にもあるんじゃないかなって思えるような。そういうキャラクターにどんどんなっていった」。

 オリジナル作品のメリットは、先が決まっていないこと。「演じてみて分かることもあって。じゃあ大介はこう行動するんじゃないかとか、ドラマが生き物のようになってくる。当初想像していたことをだんだん超えていく、勝手に動くところもあって」と作り手が思い描いていたものを超えることさえあると話した。

 さらに言えば、物語の締め方が決まっていないことすらある。「下手すると作っている僕らも結末が分からない。それもオリジナルの良さ」と自信ありげな笑みを浮かべた。

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2016年2月27日のニュース