茂木健一郎氏 流行語大賞に違和感「流行は選考するものでは…」

[ 2015年12月2日 09:50 ]

流行語大賞に持論を展開した脳科学者の茂木健一郎氏

 脳科学者の茂木健一郎氏(53)が2日、自身のツイッターを更新。1日に発表された「ユーキャン新語・流行語大賞」の扱われ方についての違和感など、持論を展開した。

 茂木氏は、流行語大賞が一種の「権威」のように扱われることに対して違和感を覚える。その理由は「(いかに素晴らしい選考委員によって、素晴らしい選考が行われていたとしても)一つの私的な組織によって選考されている、ということに起因するように思う。もちろん、すべての『選考』には何らかの視点が入る。しかし、その場合には、その『視点』を含めての賞なのであって、その賞が伸びるかのびないかは、選考の質で決定される。その意味では、フェアだと思う」とした。

 その上で「『流行語大賞』という選考のあり方に違和感を抱くのは『流行』というものが、特定の選考委員会の見識ではなく、本来世間知に属するものだからである。流行しているかどうかは、多くの人がそれに関心を持ち、口に上らせているかという事実問題で、価値観が入ることではない。『流行語大賞』をマスコミが報道するのは1年を振り返るのに便利であり、また、その中で報じられる言葉が人口に膾炙しているからだろう。しかし、流行したかどうかは事実問題であって『選考』するものだとは、私には思えない」と持論を展開した。

 さらに「今の時代、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャル・メディアがあり、どのような言葉が流行したかということは、客観的な指標でも測ることができる。流行は『選考』するものではなく『測定』『分析』するものであるとも言える」とも。流行語大賞が発表された1日には、グーグルが今年最も検索された「2015年Google検索による流行語ランキングTOP10」を発表。大賞(1位)は「マイナンバー」に決まった。

 茂木氏は「今年の候補語を見ても、例えば『同性婚』や『難民』が入っていない。他にも落ちているものがいっぱいあり『流行語大賞』の選考委員会がどんなにいい仕事をしても、それは『流行』という大きな事象のごく一部分に過ぎぬ。もちろん『流行語大賞』を毎年運営している方々の努力には敬意を表するが、そのリストを、便利だからだと、毎年まるで風物詩のように報じるメディアのあり方には違和感を抱く。そこには、安易に『権威』をつくって、あとは盲従する日本的文化風土があるような気がしてならない」とメディア批判も忘れなかった。

続きを表示

2015年12月2日のニュース