池上氏、自民の報道弾圧発言に苦言「民主主義ではあり得ないこと」

[ 2015年7月5日 19:12 ]

テレビ東京系「池上彰の教科書に載っていない20世紀」取材会に臨んだ池上彰氏とアシスタントの相内優香アナ

 ジャーナリストで東京工業大学教授の池上彰氏(64)が5日、都内で行われた特別番組「池上彰の教科書に載っていない20世紀~あの『言葉』が世界を変えた!?~」の取材会に出席した。

 同番組を、様々な世代の視聴者がいるゴールデンタイムに放送する意義を聞かれた池上氏は、「特に若い人たちは学校で歴史を一応勉強しているはずだけど、記憶に残っていないことがあるのではないか、それを改めてテレビでビジュアル化して見てもらおうということが一つ。もう一つは戦争を体験した人が高齢になってしまって、戦後70年が戦争体験者の証言を伝える最後のチャンスなのかもしれないなという問題意識を持って、スタッフみんなで作った」と説明。

 また、第一次世界大戦後から第二次世界大戦に向けて、メディアが大きな役割を果たしてきたという池上は、「例えば何かが起きて国民が熱狂すると、新聞はそれに乗っかって部数を増やしていくという歴史があり、さらに新聞があおり立てることによって国民がさらに熱狂していく相乗効果で、引き返すことができない戦争になってしまったのではないか」と語る。そして「極めて残念なことだが、様々な戦争があるたびに、新聞は部数を伸ばし、ラジオは聴取者を増やし、テレビは視聴者を増やしてきた歴史がある。改めてそれを考える必要があるのではないか」と提唱した。

 この話を受け、自民党の勉強会で「マスコミを懲らしめるためには広告料収入をなくせばいい」という発言が出たことについて意見を求められた池上氏は、「民主主義においてはあり得ないこと」と明言した。

 同番組は、池上氏とテレビ東京報道局が2010年から制作し始めた「戦争を考えるSP」の第6弾で、今回は、世界を大きく揺るがした歴史的な3人の人物の演説にスポットを当て、池上氏の解説で届ける。テレビ東京系列で26日(日)後8・54から放送。

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