香港の舞台にバリケード 蜷川さん演出の高齢者劇団

[ 2014年11月14日 23:29 ]

 学生らによる大規模デモが続く香港で14日、演出家蜷川幸雄さん(79)が演出する高齢者の演劇集団「さいたまゴールド・シアター」が、舞台「鴉よ、おれたちは弾丸をこめる」(清水邦夫さん作)を上演した。

 老人たちが体制に反抗してバリケードを築く物語。出演した高齢者らの迫真の演技に、会場となった葵青劇院の客席からは笑い声や拍手が湧き、スタンディングオベーションが起こった。

 女性教師のエレイン・トウさん(30)は「香港でデモをしている学生を思い、心がかき乱された。何かを成し遂げようとしている姿が重なる」と感極まった様子だった。

 1971年に蜷川さんが率いる現代人劇場が初演した作品で、成田空港反対闘争を色濃く反映。爆弾テロで罪に問われた青年の裁判が開かれ、年寄りの女性たちが法廷を占拠する。今回の公演には平均年齢75歳を超える団員らが参加した。

 公演を前に、学生らが占拠する幹線道を訪れた蜷川さんは、作品が香港の現状と重なると指摘。「体制に不満を持つ人たちが必死に闘うことを、よその国にいながら応援できたらいいな、彼らが幸せな結末を迎えられたらいいなと、涙するような思いです」と話した。(共同)

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