いっこく堂が優秀賞 図書館で学んだ独学腹話術で世界へ

[ 2012年8月30日 06:00 ]

<スポニチ文化芸術大賞>優秀賞に輝いたいっこく堂

第20回スポニチ文化芸術大賞 優秀賞

 腹話術という芸を一新させたのが、この人、いっこく堂。サトルくんとジョージくん、2体の人形を同時に操るステージや時間差で声を出す“1人衛星中継”など、まさに神業。「これまでやってきたこと全てが、今の自分に生かされている感じです。応援をしてくれた人に感謝です」と、謙虚な人柄もまたこの人の魅力だろう。

 高校時代にドラマ「池中玄太80キロ」の西田敏行を見て、喜劇役者を目指し沖縄から上京、紆余(うよ)曲折を経て劇団民芸に入団した。地方公演の旅先の仲間内の余興で得意のモノマネを披露したところ、大先輩の米倉斉加年から「一人で好きなことをやってみなさい」と認められ、ソロで活動することを決意した。

 その時、思い出したのが、中学時代に初めて見た女性警官の「横断歩道は注意して渡ろう」という腹話術。「実はいつかやってみたいとずっと思ってました」。驚くことに芸術品とも言われる技術は、すべて独学。近くの区立図書館から「だれにも出来る腹話術」という本を借りて、毎日、鏡の前で口の動きを研究した。「高い声は意外と簡単に出るようになりますよ」。世界を舞台に活躍できるアーティストである。

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2012年8月30日のニュース