永作博美「私でいいんでしょうか?」 逃げずに挑戦した後は涙

[ 2012年1月18日 07:18 ]

<毎日映画コンクール 女優助演賞>笑顔でポーズをとる永作博美

2011年毎日映画コンクール・女優助演賞

 不倫相手の子供を誘拐して逃亡、逮捕されるまでの約4年間を“母”でいた女。角田光代さんの小説を成島出監督が丹念に映像化した「八日目の蝉」で難役に挑んだ永作博美(41)が堂々の助演賞だ。「私でいいんでしょうか?」と謙遜したが、魂の演技は観る者の胸を締め付けた。

 出演依頼に「難しい」と感じたのが第一印象。しかし「ハードルは高いけれど断っちゃいけないと思った」と語る。0歳児と、少し成長した4歳児(渡邊このみ、現在5歳)が相手。「今までやってきた芝居では対応できない。これはドキュメンタリーだと思って入っていった」と明かした。

 「あれでスイッチが入った」と振り返る誘拐の場面、その子どもを抱いて坂道を下りてくる場面。出ないお乳を口に含ませる場面…。散りばめられた印象的なシーンも作品に厚みをもたせた。「どんどんかわいくなっていくと同時に罪の意識も大きくなっていって…」の言葉が全てを物語る。セミの抜け殻ではないが、撮影が終わった時には「これで解放された」と思わず泣いたという。

 一昨年10月にママになった。母性はリアルに感じる。しかし「演じた希和子のように子供がいないままだったらどう思っただろう?とまで考えた」というから凄い。作品を選ぶ時は感を大切にし「自分がやったらきっと面白くなるという気持ちで」とニッコリ。その顔には風格が漂っていた。

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