新藤監督 自らの経験映像化「言い残したことはないか?と」

[ 2012年1月18日 06:00 ]

<毎日映画コンクール・映画大賞>映画「一枚のハガキ」を語る新藤兼人監督

2011年毎日映画コンクール・映画大賞

 95年の「午後の遺言状」以来となる2度目の大賞に加え、自身の脚本、美術、音楽、録音と5冠の栄誉に新藤監督は「ありがたい。みんな喜んでます」と表情を緩めた。

 「今日はお祭りですが あなたがいらっしゃらないので なんの風情もありません」

 亡き戦友から見せられた妻からのハガキにはそう書かれてあった。召集された100人のうち、クジ引きで任地が決められ、生き残ったのはわずか6人。その1人だった新藤監督が実際に見た“事実”をベースに映像化した。「94人の犠牲があったから自分は仕事をしていられる。それがずっと重く肩にかかっていた。98歳になった時に、言い残したことはないか?と自問自答し、これを映画にしたんです」

 一粒の麦が生育する姿に託して、戦後を生きる人間のたくましさも描いたが、新藤監督は「戦争はやっちゃいけない」と力を込めた。4月22日で100歳。次がちょうど50作目となるが「そういきますかね」とニヤリと笑った。

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