運命のいたずら…宇多田 母・藤圭子と同じ道

[ 2010年8月11日 06:00 ]

 歌手の宇多田ヒカル(27)が無期限の活動休止を発表してから一夜明けた10日、所属レコード会社のEMIミュージックは宇多田の公式ブログに100万件以上のアクセスがあったと明らかにした。10代で記録的なヒットを放ち、結婚と離婚を経験、28歳になるタイミングで休業に至る過程はくしくも母親で歌手の藤圭子(59)と同じ。運命としか言いようがない道を歩んでいる。

 宇多田が休業を選択したのは、米国での活動を終え、日本で2年半ぶりに再スタートを切るタイミング。「この広い世界の知らないものごとを見て知って感じて、一個人としての本当の自分と向き合う期間」と明かす言葉は、家族と離れてひとり海外を放浪する母親とダブってみえる。
 藤は昨年夏、一時帰国した際、今回のことを予期したかのような言葉を残していた。「日本はガラスで囲まれているようですね。外から見ると開放的でたやすく入れそうだけれど、実際は見えない分厚い壁がある。いつか、ヒカルも感じるのではないでしょうか」
 日本で頂点を極めた宇多田の前に、米国で高い壁が立ちはだかった。目的を見失い、戻るべき日本の音楽シーンはどう映ったのか。宇多田の選択は、28歳で突然引退を表明した母の人生をたどっているようでもある。
 歌手としての歩みも似ている。10代でデビューして、宇多田は翌年に初アルバム「First Love」が日本記録の800万枚以上をセールス。藤は「圭子の夢は夜ひらく」の大ヒットをきっかけにオリコンアルバムチャート41週連続1位という不滅の記録を打ち立てた。
 絶頂期に結婚し、離婚したのも同じ。宇多田は卵巣腫瘍(しゅよう)、藤はのどのポリープの摘出手術を受けており、それぞれ「休業」「引退」の違いはあるものの、28歳になるタイミングで大きな決断をした。
 藤はその後、2年で復帰し、音楽プロデューサーの宇多田照實氏と再婚。その翌年に出産した。これから先の宇多田が同じような道をたどるかは分からないが、大きな違いがあるのも事実。宇多田は金と人に恵まれている。これからの道のりに最も大切な要素でもあり、特にスタッフとの信頼関係は、当時、母が置かれた状況とは大きく異なる。母娘の初めての分かれ道になるかもしれない。

続きを表示

2010年8月11日のニュース