[ 2010年5月23日 06:00 ]

N響はその伝統を生かして深みのあるワーグナー・サウンドを再現(C)堀田 力丸

 コンシェルジェは言います。「シャルル・デュトワが常任指揮者、音楽監督に就任する以前のN響は(桂冠)名誉指揮者のウォルフガング・サヴァリッシュ、ホルスト・シュタイン、オトマール・スウィトナーという、いずれもワーグナーの聖地バイロイト音楽祭で活躍した名指揮者が交代で指揮台に立つことで、そのサウンドが育まれ、熟成されてきた。つまり、N響の演奏様式や響きの組み立て方の中にワーグナー作品に適したスタイルやメソード(方法)が知らず知らずのうちに組み込まれてきたわけだ。それは新国立劇場の“トーキョー・リング”プレミエ時(01~04年)に“ジークフリート”と“神々の黄昏”をこのオーケストラが担当し、重厚な響きをベースに劇的起伏に富んだ演奏を繰り広げ、各方面から高い評価を得たことでも実証済み。今回の“パルジファル”も本場ドイツでワーグナーの上演経験が豊富なシルマーを迎えて、その真価がいかんなく発揮された格好だ。加えて、ドレスデン州立歌劇場で活躍した名コンサートマスター、ペーター・ミリングがゲスト・コンマスとして全体を巧みにリードしていたことも、この日の演奏の充実に大きく寄与していた」。

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2010年5月23日のニュース