女優として妻として…有終の美飾った南田洋子さん

[ 2009年10月30日 06:00 ]

祭壇で優しく微笑む南田洋子さんの遺影

 今月21日にくも膜下出血のため亡くなった女優、南田洋子(みなみだ・ようこ、本名加藤洋子=かとう・ようこ)さん(享年76)の通夜が29日、東京都港区芝公園の増上寺でしめやかに営まれた。芸能界の友人や関係者ら約500人が参列。夫で俳優の長門裕之(75)は、出演している舞台の千秋楽後に駆け付けた。長門の実弟で俳優の津川雅彦(69)は、兄夫婦について「一番いい夫婦だった」と語り「兄貴が心配」と目に涙を浮かべた。

 津川は南田さんを「女優としても妻としても有終の美を飾った」としのんだ。約4年間、認知症の南田さんを介護した兄の日々を振り返り「夫婦は年を取ると(愛情が)下降線をたどるものだけど、(南田は)認知症で自然体になるから可愛い。長門は手塩にかけて(介護し)毎日充実してた」と説明。「一緒に死にたいと言うくらい気が入っていたので、この1週間は毎日慰めに自宅に行ってた」と明かした。
 式場内には、焼香を待つ列と、長門に声を掛けようと待つ関係者の列の2列ができた。津川は「こんな通夜は初めて。長門が持つ人徳。いい式だった」としみじみ語った。
 津川の長女で女優の真由子(35)は、伯母である南田さんについて「姉のような存在で、いろんな相談に乗ってくれた。伯父より伯母の方に秘密も打ち明けていました」と涙をこぼした。
 通夜は、長門が東京・浜町の明治座公演「幸せの行方」に出演していたため、舞台に穴をあけられないと、千秋楽まで待って行われた。この日、長門はコメントしなかったが、参列者によると気丈に振る舞っていた。
 祭壇には優しい笑みを浮かべた南田さんの遺影が飾られた。6年前、プライベートで撮影された1枚で、長門が「一番いい顔」として選んだ。南田さんの写真は夫婦のツーショットが多く、探すのに苦労したという。
 祭壇は南田さんの好みに合わせ、シンプルに白で統一。棺の周りは1500本の黄色いフリージアで彩られた。棺の中の南田さんはパジャマ姿で、髪が乱れないようバンダナが着けられた。
 南田さんの戒名は「華徳院釋尼洋愛(けとくいんしゃくにようあい)」。長門をはじめ、かかわりあるすべての人に海のような広く深い愛を注いだという意味が込められた。葬儀・告別式は30日同所で営まれ、萩本欽一(68)、大林宣彦監督(71)、萬田久子(51)が弔辞を読む。

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2009年10月30日のニュース