森光子「やります」90歳でも「放浪記」

[ 2009年7月2日 06:00 ]

授与された賞状、記念品、盾を前に笑顔の森光子

 舞台「放浪記」の単独主演2000回を達成した女優、森光子(89)=本名・村上美津=への国民栄誉賞授与式が1日午後、首相官邸で開かれ、麻生太郎首相から盾などが手渡された。終了後、森は記念会見し、来年5、6月に東京・日比谷のシアタークリエで「放浪記」の再上演が決まったと発表。21歳も年下の首相を「(閣僚補充人事で)お疲れのようでした」と気遣う“余裕”もみせた。

 「決まりました。やります」。竹の葉をデザインした着物で会見場に登場すると、国民栄誉賞の盾、賞状、記念の時計を披露しながら「放浪記」再演を発表した。
 「大きなご褒美(国民栄誉賞)を頂く前からお話はあったようです。自分から“出たい”なんて言う前に決まって本当にうれしい。待っておりました」と笑顔。「何度も見に来てくださるお客さまの愛を感じます」と、今回の授章理由でもあるファンの絶大な支持に感謝した。
 初日や公演回数などは未定。関係者は「1カ月あたり22日間ほどの公演になるのでは」としており、5月の帝劇公演で到達した2017回に44回を足すと、千秋楽には2061回に達する計算。
 来年5月9日には90歳になるが、ますます元気。この日も首相官邸では、森の方が麻生首相を気遣った?
 「カーペットがふかふかで、転ばないように歩き方がゆっくりになってしまった。でも(麻生首相は)お忙しいから早く失礼しなくてはと思ってしまって」と話した。麻生首相の顔が沈んでいるのを見て取り、自ら映画の話題を提供。「トーキーや弁士の話をしたら乗ってこられた」と、森がもてなす側に回ったようだ。麻生首相はまだ「放浪記」を観劇しておらず、「来年は、ぜひ見ていただきたい」と述べた。
 国民栄誉賞は77年の創設以来、17人目。女優は初めて。森は紫綬褒章、勲三等瑞宝章、文化勲章に続く受賞。「素晴らしいことが次々起こって、罰が当たっちゃうほど幸せ。ファンの皆さまが台本を書いてくださったみたい。夢が全部つながっていきます」と再び感謝。「ほかに欲しいもの、取りたいものは?」の質問には「年を取りたいわ(取り去ってしまいたい)。お分かりになったかしら?」とニヤリ。ユーモアのセンスも健在。再来年に控える「放浪記」上演50年にも支障はない。

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2009年7月2日のニュース