小百合誓う 子供たちに核の恐怖伝えねば

[ 2008年6月24日 06:00 ]

第5福竜丸をバックに記念写真に納まる吉永小百合と男鹿和男さん

 女優の吉永小百合(63)が23日、東京・夢の島の「第五福竜丸展示館」を訪れ、平和の大切さを次世代に伝えていくことの重要性をアピールした。朗読CDの挿絵を依頼している画家・男鹿和雄氏(56)の作品展が24日から同所で開幕。これを前に内覧会に参加し「ここで開催されるのは意義深いこと」と感無量の表情で語った。

 ライフワークとして吉永が取り組んでいる原爆詩の朗読会。1986年に始めたきっかけの1つが第五福竜丸の事件だったという。54年3月1日、南太平洋のビキニ環礁でマグロ漁をしていた同船が米国の水爆実験で被ばくし、無線長の久保山愛吉さんが半年後に亡くなっている。
 「小学生の時に事件をラジオで知りました。久保山さんに元気になってほしいと子供心に祈ったのを覚えています。ここを訪れたのは初めてですが、この船で太平洋を航海していったのですね。展示写真を見ると胸がいっぱいになりますね」
 乗組員23人のうち唯一存命となった大石又七さん(74)と文通を重ねるなど事件と向き合ってきただけに、同所での男鹿氏の作品展には一段と大きな意義を感じている。
 「12年ほど前、書店で男鹿さんの絵を見て“この人しかいない”と思い、朗読CDのカバーをお願いしました。心に届く絵に感動したんです。その後、沖縄を舞台にした野坂昭如さんの戦争童話集“ウミガメと少年”の朗読CDの挿絵も描いていただきました」
 この日は沖縄戦終結から63年の「慰霊の日」。「地上戦で20万人とも言われる多くの人が亡くなった。広島、長崎だけでなく、沖縄のことも忘れてはならない。小さいお子さんにもたくさん来てほしいですね。(核の恐怖を)知らない子供たちに、知っている大人たちが機会あるごとに伝えていかなければいけないと思います」と誓いを新たにしていた。

 ≪トトロ美術監督とコラボ≫男鹿氏は宮崎駿監督(67)の「となりのトトロ」「もののけ姫」などに美術監督として参加。「吉永さんが“第二楽章”のタイトルで出された広島編、長崎編のCDで挿絵を描かせていただき、今回新たに“ウミガメと少年”の画文集を出させていただいた。もともとは野坂さんの文に黒田征太郎さんが絵をつけた童話集でしたが、お2人とも快く画文集の許可を下さり感謝しています。この展示館から新たな船出です」と語った。36点が展示され、8月17日まで。入場無料。

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