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三浦孝太「生きてきた中で一番」白スーツの父カズに抱き締められ母りさ子の目には涙 万感格闘家デビュー

[ 2021年12月31日 17:45 ]

<RIZIN33>第1試合 三浦孝太・YUSHI デビュー戦を勝利した次男の三浦孝太をねぎらう三浦りさ子(左)知良夫妻(撮影・篠原 岳夫)
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 格闘技イベント「RIZIN.33」が31日にさいたまスーパーアリーナで開催された。サッカーの元日本代表FW三浦知良(54=横浜FC)の次男である三浦孝太(19=BRAVE)が格闘技デビュー戦でYUSHI(33=HI ROLLERS ENTERTAINMENT)と対戦して1ラウンド3分00秒でTKO勝利を飾った。

 「今まで生きてきた中で一番うれしいです」

 父「キング・カズ」が大ファンで、自身も大好きな映画「男はつらいよ」のテーマ曲で入場。前日には柴又帝釈天で購入した「寅さんのお守り」に「魂を込めて戦おうと思います」とも話していた。開始から激しく打ち合った2人。グラウンドで上になった孝太はギロチンチョーク、三角絞め、腕ひしぎ逆十字固めと流れるような攻めを見せ、終了間際に左のサッカーボールキックから右のストレートで1ラウンドTKO勝ち。見事な格闘家デビューを飾った。

 デビュー戦を飾った孝太はリングサイドで観戦した父に抱き寄せられ熱い抱擁。掛けられた言葉は「覚えていない」。その横で、ずっと心配してくれた母りさ子の目は真っ赤に。涙を目にためて笑顔で戦いを終えた息子を出迎えた。興奮冷めやらぬ中、孝太はマイクを握り「ありがとう。自分が出るってなった時は批判の声などもあったけど。徐々に応援も増えて、そのたびに力になりました。何よりお父さん、お母さん、第1試合にもかかわらずボクの試合を見に来てくれてありがとう。これから格闘技界のキングになれるように一生懸命もっと頑張るので、ボクのファンになってください」とあいさつ。勝利に浮かれることなく、真っすぐ前を見据えて話した19歳は満員の観衆の拍手を浴びた。

 父はサッカー界のレジェンド。サッカー少年だった幼少期から格闘技への憧れは強く、中学ではボクシングジムにも通った。そんななか、2018年9月の「RIZIN.13」で那須川天心らのファイトに感化され、総合格闘技への魅力に引きつけられたという。高校卒業に宮田和幸氏が指導する総合格闘技ジムのBRAVEに入門。今年9月19日の「30」(さいたまスーパーアリーナ)のリング上でで参戦を表明しデビューに向け日々研鑽に励んできた。

 22日にワインレッド色のジャケットを着用してカード発表記者会見に出席した。あのワインレッド色のジャケットは父・知良が用意してくれたもの。「お父さんは今キャンプに行っているんですけど、その間に会見が決まって自分のスーツがなかったのでお父さんにすぐに電話して『スーツを貸してくれ』と言ったら元々用意してありました」と息子のために父はスーツを2着用意してくれていたことを明かしていた。そして54歳になっても現役を続ける父の来季に向けての去就について聞かれると「正直、あの年齢で若い選手と交じってサッカーをやることはシンプルに心配な気持ちがあります」と息子としての素直な気持ち話しながらも「お父さんは家族が何と言おうとサッカーが誰よりも好きでやっている姿を家族は見てきています。家族としてはどんな選択をしようとお父さんが満足いくまで応援したいなと思います」と語り、同じアスリートとしても尊敬していると話していた。

 誰よりも好きなサッカーを追い求め続ける父の背中を見て育った。だが「日本サッカーのキングの次男」ではもうない。「三浦孝太」は「格闘界のキング」という頂を目指し、父とは違った「誰よりも好きな」道を自らの足でしっかりと歩み始めた。

 ◇三浦 孝太(みうら・こうた)2002年(平14)5月28日生まれ、神戸市出身の19歳。明星学園高卒業後、プロ格闘家を目指すために進学せず、宮田和幸のBRAVEに入門。9月の「RIZIN.30」のリング上で大みそか参戦を宣言。1メートル75、69キロ。
 

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