【新春インタビュー 広島・新井監督(3)】自ら望んだ大卒野手指名 コーチ陣には新風期待
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(2)から続く
――ではドラフト戦略をうかがいます。2年連続で大卒の野手を1位指名しました。以前は投手中心でしたが、即戦力野手の指名にはどんな狙いがありますか。
「これは、自分が球団にお願いしました。スカウト、編成を含めて球団に“野手が欲しいです”と。阪神の布陣を見ると分かるように、大卒や社会人出の野手を1位で獲っていかないと、なかなか厳しい。要望を聞き入れていただいているので感謝しています」
――選手の育成が広島の根幹。方針を変えたわけではなく、あくまで現状の編成を考えた上での指名だ…と。
「そうですね。1位指名した大卒、社会人出の野手は、それなりのものを持った選手なんですよ。佐々木泰を見てもらったら分かると思うんですが、それなりの可能性や選手としてのスケールを持っています(※3)。丸(佳浩)は高卒で(07年)3位、(鈴木)誠也は(12年)2位指名ですが、今の時代、彼らのような選手はなかなかいないのが現実です」
――コーチ陣、打撃部門で入れ替えがありました。この狙いは。
「この3年で若い選手が少しずつ出てきて、1軍で試合に出る機会が増えているんですね。3年間ファームで選手を見てきた福地(寿樹)さんと(実弟の新井)良太は、僕らよりもっと深い情報を持っている。メンタル面も含めて。それをフィードバックして、やってもらいたいという思いからですね」
――投手コーチには、ヤクルトから石井弘寿氏が入閣しました。
「彼は千葉生まれの東京育ちで、現役でも指導者でもヤクルト一筋。僕は若いころに(日本)代表で一緒に戦った経験がありますが、カープには縁もゆかりもなかったので(受諾は)ありがたいことですよ。彼は素晴らしい剛速球投手でしたけど、ケガで選手生活が短く凄く苦労している(※4)。コーチとしての経験も豊富なので、培ってきたノウハウを新たなテイストで投手陣に注入してもらいたいと思っています」
――3連覇から8年目。当時を知る選手は少なくなりました。彼らベテランに望むことは。
「発言や取り組む姿勢。それは当然のことなんですが、一番はやっぱり数字で周りを引っ張ってもらいたいですね。背中で見せる…などと言われますが、ベテランになればなるほど数字が必要になる。そうでないと、発言したことに説得力がなくなるので。数字で引っ張り、周りを黙らせてもらいたい。そう願っています」
――監督として3年間チームを率いてきました。選手との向き合い方で変えること、変えなければいけないと思うことはありますか。
「反省して勉強し、改善していかないといけないことは多々あります。詳細は伏せますけど、簡単に言うと、ちょっと遠いところから黙って見させてもらおうかな…と」
――先ほども黙って見ると言われました。どういう意図ですか。
「グラウンドで起こること全て、最高責任者である自分の責任だと思っています。昨季5位に終わったこともそうです。従来は良かれと思って自分の感じるままにやってきましたが、結果や過程を振り返った時、逆にチームの甘えにつながってしまった部分があるのかな…と。そうであるなら、自分が変わらないといけない。変えていかないといけない。だったら、もろもろを含め、少し離れたところで黙って見させてもらおうかな…と。あとは全て結果で判断していこうかな…と」
――就任直後はよく、チームは家族と表現されていました。
「ワードだけが出過ぎ。あまりにも一人歩きしています。選手も、ファンも、一丸となって戦おう…という意味合いで家族と言っているわけなので」
――家族と聞くと甘やかしているような響きがありますが、決してそうではない…と。
「もちろん、もちろん。甘やかそうと思って家族と言っているわけじゃないですから。甘えや緩みにつながった部分は改めますが、本当に甘やかしてきたかどうかは、選手に聞けば分かると思います。ま、でも、成績が落ちると、そう捉えられやすい。それがプロの世界。自分が受け止めないといけないと思っています」
――入ったばかりの若い選手が、試合前に笑いながら緊張感なくノックを受けている。悪い水に染まっている…という一部解説者の指摘がありました。
「それは佐々木泰のことだと承知していますが、その指摘は間違っています。僕は毎日、目を凝らして練習を見ています。そこの緩みはないと断言できます。たまに球場に来て、一部だけを見て切り取り、メディアで無責任に発信する。批判は構いませんが、事実に基づいて発言してほしい。言ったモノ勝ちの風潮が残念です」
――変える、変わることを、いとわない。
「自分自身、いろいろ変化しないといけないと思います。その作業は毎年やっていますが、3年目は“そうなのか”と残念に感じることが多々ありました。全ては自分の責任。前を向いて、頑張りたいと思います」
(※3)24年ドラフト1位で入団した佐々木は、1年目の昨季に2度の負傷離脱(左太腿裏の肉離れ、肋骨の疲労骨折)を経験しながらも54試合に出場して打率.271をマーク。9月下旬以降には4番スタメンで4試合起用され、守備は本職の三塁だけでなく中堅でもプレーした。
(※4)現役時代は最速155キロを誇り、五十嵐亮太との抑え二枚看板「ロケットボーイズ」として活躍。02年には最優秀中継ぎ投手に選出された。しかし、06年2月のWBC壮行試合で左肩痛を発症。同年秋に手術を受けて以降は長いリハビリを余儀なくされ、11年限りで現役を引退した。
○…広島が前回日本シリーズを制した84年以降、昨年まで41年間の日本一ブランクは継続中のものでは最長。近年、22年オリックス(96年以来)、23年阪神(85年以来)、24年DeNA(98年以来)と25年以上のブランク解消が続き、現12球団で21世紀の日本一がないのは広島だけ。なお歴代最長ブランクは中日の52年(54年→07年)、2位が日本ハムの43年(62年→06年)。広島は目下3位。
≪「結果で判断」ベテラン中堅に好都合 最後までもがいて≫
【取材後記】誰が指揮しても、かじ取りが難しい世代交代期。鍛えて伸びる素材がそろっていれば良いが、現有戦力の勢力図がほぼ固まっている場合、大願成就には時間と大胆なテコ入れが必要になる。「全て結果で判断」という方針転換には、新井監督の苦慮が透けて見える。
1年前、指揮官は元日紙面で「空気の緩みや慣れからくる舐(な)めが一番怖い」と語った。憂慮したよどみは、しかし、改善されたと言いがたい。ならば従来の手法を見直し、選手と一定の距離を保って判断基準も変える。それが3年目を終えて導き出した結論だった。
ベテランや中堅選手には、むしろ好都合ではないか。「結果」はプロの原理原則。若返りを図るとしても、数字を残す限り出番はある。周りは、その振る舞いを見ている。年齢を重ねても自分に妥協せず、最後までもがき続けてもらいたい。 (江尾 卓也)
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