【新春対談 阪神・森下翔太×サントリー・高橋藍(2)】プロ魂を語る編~声、データ、重圧とどう向き合う

[ 2026年1月1日 05:15 ]

サントリー・高橋藍
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(1)から続く

 森下 ヤジじゃないですけど、バレーボールではネットの向こう側の相手から何か言われることってありますか?野球だと、キャッチャーが話しかけてきます。

 高橋 へ~、そうなんですね。バレーボールは次々とプレーが進むので、言葉をかけてくる選手はいないですね。海外でもなかったです。

 森下 「調子どう?」って聞かれたりして、意外と声で揺さぶられる時があります。

 高橋 打つ時に言われると気になりますね。

 森下 自分のルーティンをやりたいから。「いや、まあちょっと調子悪いっす」みたいな感じで返して、集中するためにゆっくり時間をかけたりします。

 高橋 無視するのも良くないですもんね。

 森下 一塁走者だと、一塁手に「お前、走るなよ」と言われることもあります。それを含めてコミュニケーションなので、楽しいですけどね。

 高橋 テレビで見ているこっちからすれば、その話、めちゃめちゃ面白い。これから打席でルーティンを長くやっていたら、“今、しゃべりかけられているのかな”と想像してしまいます。

 森下 野球はデータが無数にありますけど、バレーボールは、どう活用していますか?

 高橋 相手のサーバーが狙うコースの傾向や種類などがあります。だけど、イレギュラーな部分が多いので、頭でっかちにならずに試合で対応することにウエートを置いています。

 森下 僕の場合は球種の回転数、(直球の)伸び率などを見ています。同じフォークボールでも無回転で落ちるのか、ジャイロ(回転)のフォークなのか、上に上がってから落ちるタイプなのか、それぞれ軌道が異なる。その違いを指標で見られた方が好き。

 高橋 それに比べると、バレーボールは選手一人が見るデータはかなり少ないかな。僕の場合、スパイカーなので、特に相手ブロッカーとの駆け引きを重視します。どのコースをよく閉めてくるというのは、頭に入っています。逆もしかりで、僕がどのコースが好きかという傾向は、相手に知られていますけど。

 森下 確かに、確かに。

 高橋 でも、基本的にはデータ通りにいかないので、駆け引きの連続。僕は、相手ブロッカーの動きを見ながらスパイクを打つというスタイルです。

 森下 昔、体育の授業でやったバレーボールを思い出してみたけど、それってジャンプ力がないとできないですね。素人のジャンプ力じゃ、判断する時間が短すぎる。

 高橋 滞空時間は大事ですね。あとは、ブロックする選手は、どちらの手が得意なのかというのがあります。右手が強いのか、左手が強いのか。跳んだ時に最後に手を前に出してくるのは右手なのか、左手なのか。そういったデータを大まかに頭に入れて、そこからは駆け引き。相手は絶対、止めにくるので、ギリギリまで動作を見極めてその逆を突いています。

 森下 へー!なるほどね。

 高橋 僕は高校生の時、緊張する方でした。結構考え込むタイプで。年齢を重ねてから“考え過ぎてもしょうがない、ポジティブに変換していこう”ということを大事にしています。重圧には、どう向き合っていますか?

 森下 プロ野球は143試合もあるから、舞台に立ったら能力を発揮しようと、体が勝手になっています。切り替えるという概念がないというか。同じことかもしれないですけど、考え過ぎても結果は変わらないというスタイルです。

 高橋 食事の話ですけど、バレーボールは基本的に炭水化物中心の食生活で、タンパク質の量を制限したりします。タンパク質を取る時は低脂質のササミを食べます。野球はどうですか?

 森下 僕は栄養士さんと調理師さんに管理をしてもらっていますけど、基本的には、おいしいご飯じゃないと続かないと伝えています。食事がストレス発散でもあるので。毎日ササミって言われたら、もう息抜きをするところがない。「今日、中華の気分です」、「ハンバーグを食べたい」とかリクエストします。超うまいです。

 高橋 試合の日は、どんな物を食べますか?

 森下 ナイターの日なら朝食が午前10時半ぐらい。ラーメンと、チャーハンとか。朝に炭水化物をしっかり取って、試合前は午後4時ぐらいに控えめに食べます。試合後は午後11時ぐらいにしっかり食事をするというスタイルです。

 高橋 試合前は糖質を取った方が良いですもんね。
 森下 そう。やっぱり頭も使うし、糖質がないと集中力が切れちゃう。

 高橋 僕の場合、夜の試合だったら朝と昼にしっかり食べます。糖質を取るために炭水化物、米の量を増やします。で、試合開始の2時間前ぐらいにうどんやおにぎりを食べて、試合後にまたご飯を食べます。

 森下 遠征先の食事会場は、広島ならお好み焼き、おすし、天ぷらなんかも出てきます。横浜だと、ホテルで家系ラーメン、北海道ではおいしい海鮮が出てきます。

 高橋 それは凄い。(チームの広報担当者を見て)やってよ、それ。サンバーズも。夢があるわ。

 森下 その方が食事会場へ行くし。外食も減るので選手としても、球団としてもメリットがある。

 高橋 プロ野球は凄いな…。父親の話を聞いて野球をやっておけば良かった…(笑い)。

 森下 日本代表の合宿だと、食事会場で焼き鳥を焼いてくれる料理人の方もいた。

 高橋 2シーズン過ごしたイタリアの食生活は最高でした。パスタは脂質も高いので制限をしないといけないけど、途中から“もういいや”ってなっていました。ピザとかは最高すぎて我慢できないです。

 森下 そりゃそうだわ。僕なら爆食いするよ。体重なんて簡単に100キロにいっちゃいそう。

(3)へ続く

 ◇森下 翔太(もりした・しょうた)2000年(平12)8月14日生まれ、神奈川県出身の25歳。東海大相模、中大を経て22年ドラフト1位で阪神入団。新人の23年はDeNAとの開幕戦で「6番・右翼」でデビュー。94試合で10本塁打、41打点。同年オリックスとの日本シリーズでは7打点の新人最多記録で日本一に貢献。25年は自身初の全試合出場で、いずれもリーグ2位となる23本塁打、89打点を記録。ベストナインとゴールデングラブ賞を初受賞した。1メートル82、93キロ。右投げ右打ち。

 ◇高橋 藍(たかはし・らん)2001年(平13)9月2日生まれ、京都市出身の24歳。小学2年の時、兄・塁(サントリー)の影響でバレーボールを始める。東山、日体大卒。東山3年時に春高バレーで優勝。日体大在学中の21年にイタリア1部パドバ加入。23年モンツァ移籍。24年からサントリー所属。20年日本代表初選出。21年東京五輪、24年パリ五輪8強。1メートル88、83キロ。アウトサイドヒッター。

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