健大高崎・石垣元気の剛速球の秘密 カブス・今永らも師事のトレーナー・北川雄介氏が分析

[ 2025年6月27日 05:00 ]

投球の様々な数値を計測する健大高崎の石垣元気(撮影・会津 智海)
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 「元気玉」に秘密あり――。今秋ドラフト1位候補の健大高崎(群馬)の最速158キロ右腕・石垣元気投手(3年)は、今春選抜で歴代大会最速の155キロを計測し、今夏は160キロも期待される。西武・武内、カブス・今永らも師事するトレーナーの北川雄介氏(38)が最高経営責任者(CEO)を務める都内の施設での練習に独占密着した。(取材・柳内 遼平)

 高校時代に160キロ台の速球を投げたドジャース・大谷、佐々木には、1メートル90を超える長身という共通点がある。日本人離れした体格が「大台」の条件と思われていたが、1メートル80の石垣元が現れた。今春選抜では大会史上最速の155キロを4度も計測した怪物だ。

 なぜ、石垣元の球は速いのか――。1年生だった23年6月から指導してきた北川トレーナーは明確な答えを知っている。5月上旬、北川氏が運営する都内の「DIMENSIONING Sports Center」での指導に密着した。

 地下1階にあるマウンドで石垣元が投げ込み、投球計測機器「ラプソード」がデータをモニターに表示する。前後からフォームをチェックした北川氏が剛球の秘密を明かした。

 【秘密(1)】「メジャー選手を超える肩の力」 うつぶせで肩を垂直に上げた状態から押す力を示す数値「ISO―I」は231N(ニュートン)で、メジャー選手の平均180Nを大きく上回る。この「ISO―I」が示す肩の力と方向が近いオーバースローで球に力を伝えるから、メジャー級の出力を体現できる。

 【秘密(2)】「めっちゃいい指の形」 北川氏は初めて投球を見た時、指に驚いた。「凄くボールを捉えるのがうまい。“めっちゃ指いいね!”と話しました」。直球をリリースする人さし指と中指には大きな負荷がかかり、指が反りすぎると力のロスが発生。石垣元の指は反りすぎることなく、力を与え続けられる角度でロックしているという。2本の指から手のひらに伸びる関節が頑強で、肩から発生する爆発的な力にも耐えられる。

 【秘密(3)】「軸足の蹴り方」 先の2点は持って生まれた天賦の才。ただ上半身が強すぎるため、「力んでいる」や「上体で投げている」と評するプロ野球のスカウトもいた。そこで昨秋から「軸足が投手板を蹴るタイミングの適正化」に着手した。本塁方向に体重移動する際、軸足の右足の股関節が、マウンドに対して角度45度になるタイミングで蹴ると力はロスなく伝わる。今春選抜から力感なく150キロを投げ、スカウトを驚かせた。

 目標の160キロへ進化は止まらない。密着した日は新たにセットポジションの際、背中側に重心を置き、反動をつけて始動する修正を施していた。約2時間の指導を受け、群馬県への帰路に就いた石垣元は「160キロを出して北川さんをもっと有名にしたい」と笑った。近づく夏。海を渡った2人の剛腕に続く伝説を残せるか。注目だ。

 ◇石垣 元気(いしがき・げんき)2007年(平19)8月16日生まれ、北海道登別市出身の17歳。幌別西小1年から柏木ジュニアーズで野球を始め、西陵中では洞爺湖リトルシニアに所属。名は出産予定日を2週間過ぎても生まれずに「元気で生まれてほしい」と両親に命名された。1メートル80、80キロ。右投げ左打ち。

 ≪プロ注目左腕・佐藤龍も指導 肘の負担軽減に取り組んだ≫昨春選抜で22回無失点で初優勝に導いたプロ注目左腕・佐藤龍月(りゅうが=3年)は、昨年8月末に左肘内側側副じん帯再建術(通称トミー・ジョン手術)を受け、22日に鶴岡東(山形)との練習試合で330日ぶりに対外試合登板。石垣元とともに北川氏から指導を受けてきた佐藤龍は「いろいろな面で考え方が変わる。成長に欠かせない」。直近の指導では下半身と上半身をより連動させることで肘の負担を軽減させることに取り組んだ。

 ▽北川雄介氏 スポーツトレーナー、経営者。1987年(昭62)3月4日生まれ、千葉県出身の38歳。八千代松陰(千葉)時代まで投手としてプレーし、筑波大ではコーチング、パフォーマンス向上の研究に励む。卒業後はスポーツトレーナーとなり、カブス・今永、西武・武内、楽天・荘司、日本ハム・細野らを指導。24年夏には東京都中央区に機材費を含む3億円を投じ「DIMENSIONING Sports Center」をオープン。

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