阪神・村上が投球時に捕手から「目を切る」深い理由に納得 「ずっとホームベースを見ていると…」

[ 2023年5月8日 08:00 ]

現在の阪神・村上
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 【畑野理之の談々畑】雨で2日続けての中止。いずれも先発が予告されていた阪神・村上頌樹の連続無失点イニングがどこまで更新するのかは9日のヤクルト戦に持ち越しとなった。開幕から1カ月ちょっとで、今や阪神だけではなく球界から大注目される投手の一人だ。

 何で急に良くなったのか?昨年とは何が変わったのか?その答えは、村上自らが2日付のスポニチ1面で、投球フォームの連続写真を見て解説している。<1>「胸の開きの我慢」と<2>「踏み出し足の力強さ」の2点。<1>で“間”が生まれて打者が打ちづらくなった。<2>で持ち味の浮き上がる「真っスラ」の威力が増したという。

 担当記者として私も考えていた。セットポジションから投げる村上はサインを見た後、左足を上げた時に顔が正面(三塁方向)を向いて視線が一度、捕手のミットから外れる。担当ではなかった昨年までは投球を見たことがないが、少なくとも智弁学園3年時、16年選抜優勝の際にはずっと捕手のミットを見たまま投球している映像が残っている。少しくらいは関係があったらうれしいなと思い、村上に聞いてみた。

 「ガーッと力を入れ過ぎる悪いクセがあったので、左足を上げた時に一度リセットするではないですが、目を切るように変えました。そうしたら良くなりました。でも大学(東洋大)時代です。2年生くらいの時かなあ」

 以前は子供たちは、“キャッチャーから目を離さず投球しなさい”と教えられてきた。現在24歳の村上の世代でもまだそうらしく、首を左に向けて捕手をずっと見続けていたという。しかし、今はプロ野球でも一度目を切る投手は少なくない。

 その一人だった本紙評論家の能見篤史氏にも聞いてみた。「オリックスでも山本由伸がそうですし、たくさんいますね。下半身主導で投げたかったので、ずっと捕手を見ていると確かに力が入って体も開きやすくなりますからね」。そして、こう続けた。「ずっとホームベースの方を見ていると、打者のリズムにこちらが合わせてしまうんですよ。投手のリズム主導でいった方がいいじゃないですか」

 なるほど。村上が今年に急成長した直接の要因ではなかったが、野球の勉強になった気がする。

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