【プロ野球キャンプの記者仕事 8日目】男・石井浩郎の思い出

[ 2023年2月8日 08:00 ]

長嶋監督らに迎えられる巨人・石井浩郎(右端)
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 【プロ野球キャンプの記者仕事 8日目】ある年、巨人のキャンプ中に石井浩郎内野手の単独インタビューを行った。近鉄から移籍3年目。巨人の一塁には清原和博がいた。出場機会を増やすため、石井は複数ポジションの掛け持ちを求められていた。

 だが、その年のキャンプに石井は一塁ミットしか持参しなかった。メディアは「清原に挑戦状」とあおったが、石井は「清原に挑戦と言われるけど相手は関係ない。自分は打席で結果を出したい。打撃のために守備は一塁に専念したい。例えレギュラーがマグワイアでも僕は一塁ミットしか持って来なかった」と言い切った。

 野武士のような風貌に加え、その一本気も「男」と呼ばれた理由だ。

 当時のマーク・マグワイアは大リーグナンバー1の一塁手で、前年に70本塁打のシーズン記録を残していた。その決意に感動したが、翌日キャンプ地に行くと石井に呼び出された。何か怒らせたかと戦々恐々としながら向かうと「昨日、相手が誰でもって言ったけど、マグワイアはちょっといい過ぎた」。何という生真面目さ。男・石井がもっと好きになった。(K)

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2023年2月8日のニュース