ヤクルト・高橋はシリーズ男だ 父が再び快投呼び15イニング連続無失点 昨季観戦時はプロ初完封

[ 2022年10月26日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2022第3戦   ヤクルト7―1オリックス ( 2022年10月25日    京セラD )

<オ・ヤ3>4回2死二、三塁のピンチに高橋は杉本を空振り三振に仕留める(撮影・大森 寛明)
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 三塁側スタンドで見守ったヤクルト・高橋の父・幸治さん(56)は目の前で躍動する息子が普段の姿と同一人物だとは思えなかった。「私服でその辺にいたら、おぼこい(あどけない)子なんだけど…。自分と話している時とグラウンドでは、本当にギャップがある」。視線の先ではたくましく成長した左腕が気合の投球で相手打線を牛耳っていた。

 「一人一人に集中して投げられたし、ピンチではメリハリのある投球ができた」。0―0の4回1死二、三塁。先制点を許すかどうかの瀬戸際で中川圭、杉本をともに威力満点の高めの直球で空振り三振に仕留めた。「ギアを上げられた」と、一球ごとに「イヤアッ!!」とスタンドまで響く大きな声を張り上げる。最後は左拳を握って、思い切り吠えた。

 快投、再び――。昨年11月21日の第2戦。同じ京セラドームで投げ合った相手も同じ宮城だった。9回5安打無失点。133球の熱投だった。日本シリーズの晴れ舞台でプロ初完投を完封で飾り、全国にその名をとどろかせた。あれから1年。初回は緊張から先頭・福田にいきなり四球を与えた。課題の立ち上がり。しかし無失点で切り抜け「こういう大舞台で、ズルズルいかなかったのは成長だと思う」とうなずいた。

 6回3安打無失点で7奪三振。日本シリーズ15イニング連続無失点は石井一久(現楽天監督)、現監督の高津臣吾に次ぐ球団3位だ。「勝つ」の願いを込めて登板前日はカツ丼、当日の昼は納豆を食べる。「粘り負けないように」という験担ぎが大一番で効果を発揮した。

 「6回まで投げ切ってくれて非常に成長を感じた」と高津監督。幸治さんは25歳の息子と一緒に飲みに行く機会もあり、それが何より「楽しい」と笑う。孝行息子。飲みに行く時はもちろん、“おぼこい”普段の高橋だ。(鈴木 勝巳)

 ▽昨年日本シリーズでの高橋VS宮城 オリックス1勝で迎えた11月21日、京セラドームでの第2戦。ヤクルト高橋は毎回の5安打を浴びたが5回まで無失点。オリックスの宮城は5回まで完全投球を展開した。

 宮城は6回1死から西浦に初安打を許し、8回2死一、二塁からは青木に中前適時打を浴び8回途中5安打1失点で降板。一方の高橋は6回以降は無安打で5安打無失点でプロ初完封勝利を挙げた。

 レギュラーシーズン完封なしの投手が日本シリーズ初登板で初完封勝利は、史上初の快挙。また、この日の勝利でセ・リーグの日本シリーズ連敗が13で止まった。

 ≪石井一、高津に次ぐ球団3位≫高橋(ヤ)が昨年第2戦の初登板初完封に続き6回無失点で勝利。シリーズは2戦2勝となり、合計15イニング無失点となった。

 シリーズ初登板初完封の次戦も無失点で勝利は、08年巨人第6戦の岸(西=現楽天)が救援で5回2/3を無失点に抑え勝利して以来2人目で、2試合とも先発は高橋が初めて。シリーズ初登板初完封投手のデビューからの連続無失点記録としては、51年第1、5戦の藤本英雄(巨)の17イニングに次ぎ、前記の岸の14回2/3を抜く2位になった。

 また、ヤクルト投手のシリーズでの連続無失点記録を調べると(☆は初登板初回から)

年度  投手名 イニング
97、01 石井 一久 19回
93~01☆高津 臣吾 16回2/3
21、22☆高橋 奎二 15回

 と3番目の長さでデビューからは現監督の高津に次ぐ記録だ。

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