村田兆治容疑者はなぜ逮捕された 実直な男をイラ立たせた、保安“徹底”検査

[ 2022年9月24日 05:30 ]

村田兆治容疑者 暴行容疑逮捕

村田兆治容疑者逮捕を受け東京空港警察署に集まった報道陣(撮影・西海健太郎)
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 ロッテの元投手、村田兆治容疑者(72)が暴行容疑で逮捕されたことに驚きの声が広がっている。羽田空港の保安検査場で金属探知機に何度も引っかかり、腹を立てたことが原因との見方もあり、現役時代の実直なイメージとはかけ離れた印象だ。背景には、今年3月から航空法が改正されたことに伴い、保安検査が義務化されたことが影響した可能性がある。

 空港では近年、テロなどへの警戒を強めるため、保安検査の警戒意識が高められている。2019年9月には、東京五輪開催を前に「テロに強い空港」を目指して上着や靴への検査協力を求めるように検査が強化された。だが、それに伴い検査時間が長くなることや検査に強制力がないことなどから、しばしば乗客からクレームが寄せられてトラブルにつながっていた。

 検査員の負担や疲弊を軽減するため今年3月、政府はそれまで法的に曖昧な位置づけだった保安検査を明確に義務化。乗客は保安検査を受けずに進むと、1年以下の懲役または50万円の罰金が科せられる場合があると航空法で定められた。

 ただ、この義務化が広く周知されていたとは言い難い。「義務化を知らず、検査に長時間かかることで怒る乗客はいてトラブルが減った印象はない」と話す空港関係者も。

 とはいえ、保安検査は空の安全を守るために必要なものだ。航空評論家の青木謙知氏は「日本は海外に比べて検査員の権限が弱い」と問題点を指摘。「同じ検査を何度も課せられれば、いら立つこともあるかもしれない。だが、安全な航空のため、検査員に従ってしっかり検査を受けることは大事なことだ」と強調した。

 政府は検査の義務化に伴い「スムーズに通過するコツ」を紹介するなど乗客へ理解と協力を呼びかけている。

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