阪神・青柳が出身地の少年野球チームに用具計140点を寄贈 母子家庭で実感した自身の思い重ね…

[ 2022年9月6日 07:00 ]

青柳が寄贈する野球道具(ゼット社提供)
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 阪神の青柳晃洋投手(28)が5日、出身地の神奈川県横浜市鶴見区の少年野球チーム(計20チーム)にグラブやバットなど計140点を寄贈することを本紙に明かした。野球は初期費用が高く、用具の貸し出し制度に強く共感する右腕。野球を始めることへのハードルを少しでも下げるためにシーズン中ながら即行動に移した形だ。虎の大黒柱は、6日のヤクルト戦(甲子園)に先発。投手部門3冠の誇りを胸に、打撃部門3冠をひた走る主砲・村上を封じる覚悟を示した。  

 きっかけは、7月に目にしたある新聞記事だった。高校野球チームが取り入れる野球用具の貸し出し制度。青柳は、自身のツイッターアカウントで「野球をはじめるきっかけの少年野球チームや、中学校の部活でも取り入れてほしい!貸出し制度(原文のまま)」とつぶやくと、すぐに行動に移した。

 アドバイザリープロスタッフ契約を結ぶゼット社から少年野球用の左右のグラブ、キャッチャーミット、ファーストミット、バットを買い取り、在庫が足りないものは久保田スラッガー社、ミズノ社からも協力を得て計140点を自費で集めた。「野球用具ってやっぱり高いじゃないですか。親の負担にもなりますし。僕も中学1つ、高校1つと同じグラブをずっと使い続けてきた。野球を始めるきっかけになるグラブやバットがもっと身近になればいい。それで野球がおもしろい、始めるとなれば親に買ってもらったグラブを大切に使えば良いので」

 母子家庭で小学4年から野球を始めた右腕は、親の経済的負担が少なくないことを目にしてきた。高額な用具が野球を始める高いハードルになっているとも感じている。「野球体験に来た子が道具を持っていなくても気軽に始められるように。友達に誘われて、手ぶらで行ってもできるようなところから始まっていけば」。「野球を始めるタイミングは人それぞれ」とグラブも小学校低学年、高学年用を用意するなど心遣いが随所ににじむ。

 通常のグラブだけでなくファースト、キャッチャー用を手配したのにも理由がある。「野球を始めて最初にファースミットを買う人はあんまりいないと思う。それなら親の負担なく、チームに誰でも使えるようなキャッチャー、ファーストミットがあれば良いなと」。今回、貸し出し制度に共感して起こした行動だが、送った用具の使い道は各チームに任せる考えでいる。「その子がずっとそのグローブを使ってもいいですし、卒団する時にチームに還してくれてもいいですしね」。

 野球用具は近日中に各チームに届けられる。ツイートから約2カ月というスピード感もさることながら、異例なのは、シーズン中に動いたことだ。「1日でも早く僕の送った用具が届いて、子どもたちが野球に触れる機会が増えればと。シーズン中ですけど、何の苦もなくやりました」。背番号50の“贈り物”が子どもたちと野球をつなげる。 (遠藤 礼)

《今季、村上との対戦は本塁打ゼロ!対策は秘密!?》青柳は5日、翌6日のヤクルト戦での先発へ向けてショートダッシュなどで最終調整した。首位チームとの対戦で注目は村上との“3冠対決”。防御率(1.61)、勝利数(12勝)、勝率(.800)でリーグトップの右腕は「(対策を)新聞に載せて村上が読んだら打たれちゃう」と苦笑いを浮かべつつも「まだ(今年は)村上にホームラン打たれてないので、今年の考えは成功しているのかな。捕手と話し合いながら、しっかり攻められたら」と意気込んだ。51本を放つ怪物からいまだ“被弾ゼロ”の強みを生かして、快投を狙う。

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