大谷もびっくり!?日体大ドラ1候補左腕・矢沢、変則三刀流 先発→DH退け代打・矢沢→右翼守備

[ 2022年9月6日 05:20 ]

首都大学野球3回戦   日体大3-4筑波大 ( 2022年9月5日    サーティーフォー相模原 )

<日体大・筑波大>得意のスライダーを軸に9回で12三振を奪った矢沢(撮影・柳内 遼平)
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 最速152キロで今秋ドラフト1位候補の日体大の矢沢宏太投手(4年)がエンゼルス・大谷翔平投手(28)も経験がない珍しい二刀流で躍動した。筑波大戦でまずは投手専念で先発マウンドに上がると、6回にDHの打順で代打で登場。リアル二刀流となっても好投を続けて9回を2安打3失点に抑え、延長10回は右翼の守備に就いた。試合は敗れたが投打、そして守備でも存在を示し、ファンや関係者を魅了した。

 日体大が誇る「二刀流」は神出鬼没だ。1点を追う6回1死満塁の同点機。打者交代を告げるアナウンスに球場がどよめいた。「指名打者の黒川君が退きまして、ピッチャーの矢沢君が入ります」。強打者が務めることが多いDHを解除し、先発投手が打席に入る超異例の代打策。一塁側内野席の筑波大応援団からは「そんなのあり?」、「便利やな!」などの声が上がった。

 打者でもアマチュア球界トップクラスの評価を受ける左打者。鋭いゴロは遊撃手の正面を突いたが50メートル5秒8の快足を飛ばし6―4―3の併殺を間一髪で阻止し3―3の同点とした。7回も続投して試合途中からリアル二刀流がスタート。開幕戦の先発から中1日で再び先発したが、スライダー、チェンジアップを駆使した緩急で最後まで打者を幻惑した。9回を2安打3失点、12奪三振。右翼守備に回った延長10回タイブレークの末に敗れたが、投球には「修正しながらやっていけた」と大きく胸を張った。

 二刀流として示した新境地。今回の先発投手から指名打者を解除する「代打→リアル二刀流」は公式戦で初だった。メジャーで活躍するエンゼルス・大谷も日本時代を含め経験のない起用法だが「こういう出場の仕方もありだと思います」と涼しい顔。同点の8回2死一塁の第2打席では一塁が埋まっている状況にもかかわらず申告敬遠で勝負を避けられた。1打数無安打1打点に「結果を出さないと、どっちもやっていると言えない」と反省するが、7月にオランダで行われた「ハーレムベースボールウイーク」など大学日本代表でコーチとして共闘した筑波大・川村卓監督は「一緒にいて怖い打者と分かっている」と敬遠の意図を説明した。

 筑波大に1勝2敗で第1週の勝ち点を落とした。リーグ優勝への道は険しくなったが、矢沢は「本当に残りの試合を全て勝つしかない」と未来に目を向ける。体に負担が大きい二刀流でのプレーは、チームに勝利をもたらすため。最後に頂点を極め、運命のドラフト会議へと向かう。(柳内 遼平)

 《16年CSでDH→投手》エンゼルス・大谷は、今回の矢沢とは逆パターンの「DH→投手」は一度だけある。日本ハム時代の16年10月16日のソフトバンクとのCSファイナルS第5戦で、DHで先発。3点リードの9回にDHを解除して守護神として登板し、当時NPB最速の165キロを記録した。大リーグでは「DH→外野」は一度あり、21年4月24日のアストロズ戦でDHを解除し、左翼に回った。「投手→外野」は計4試合。今季から先発投手が降板後もDHで出場を続けられる、通称「大谷ルール」ができたために、変則的な起用はなくなった。

 ▼ロッテ・柳沼強スカウト 大学日本代表でプレーを続けていた疲労もある中、縦のスライダーを有効に使って三振を奪っていた。直球で押すだけでなく、考えて投球することもできる。

 ▽公認野球規則5・11(a)の(10) 投手が指名打者に代わって打撃するかまたは走者になった場合、それ以後指名打者の役割は消滅する。試合に出場している投手は、指名打者に代わってだけ打撃または走者になることができる。

 ◇矢沢 宏太(やざわ・こうた)2000年(平12)8月2日生まれ、東京都町田市出身の22歳。6歳から町田リトルで野球を始め、忠生中では町田シニアでプレー。藤嶺藤沢では1年夏からベンチ入りし同秋からエースも甲子園出場なし。高校通算32本塁打。日体大では1年春から野手でリーグ戦に出場し、同秋投手でも出場。2年秋に外野手、3年秋に投手、4年春に指名打者でベストナイン。1メートル73、72キロ。左投げ左打ち。

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