阪神・北條「あ、このまま引退するんや」 キャリア終了覚悟から執念同点打「マジでうれしい」

[ 2022年7月7日 07:15 ]

セ・リーグ   阪神3―2広島 ( 2022年7月6日    甲子園 )

<神・広>4回2死満塁、北條は左前に2点適時打を放つ (撮影・奥 調)
Photo By スポニチ

 両手の鈍痛とは裏腹に、聖地は沸いた。阪神・北條が、4回2死満塁で同点の2点適時打。詰まって左翼前に落ちる一打は崖っぷちの27歳の執念が勝った。

 「そういう(執念の)部分の安打」

 内角高めの直球を振り抜いた。お立ち台では「手が折れた」と笑ったが「うそです」と殊勲の一打をかみしめた。中軸の後を打つ6番。近本から試合前に「2死満塁で回ってくる」と重圧をかけられ、現実に。「あいつが三塁ランナーで笑っていた。(凡打なら)あいつのせいにしよう」と振り返ったが、打ち勝った。左腕対策で今季4度目のスタメン。通算7打数無安打だった床田から自身初安打だった。「チームとしては良かった」と今季の広島戦は開幕から12戦目にして初勝利で昨季から続いていた対床田の連敗も5でストップ。降雨中止翌日は20年10月18日のヤクルト戦から10連勝だ。

 昨年9月、2軍戦で三塁ファウルゾーンのフェンス際の捕球プレーで左肩を負傷。亜脱臼と診断されたが、ほぼ剥離骨折の状態だった。医師からは「手術しないと再発の恐れがある」と宣告されながら、北條は首を横に振った。「1軍が優勝争いしている。1軍を目指します」。最終盤10月中の昇格を目指した。だが、その決断がさらなる悲劇を生んだ。

 10月中旬、みやざきフェニックス・リーグで一、二塁間の打球に飛びついた際に再び激痛が走った。18年の亜脱臼から数えて左肩は3度目。しばらく立ち上がれなかったのは痛みのせいだけではなかった。「3回目は普通の動きだったのに、肩が抜けてショックというか…。その瞬間、手術のことは頭に全くなくて、あ、このまま引退するんや。何しようかなとか考えてた」

 長いリハビリを経て今年5月に昇格。ようやくスポットライトを浴びた。「自分としてはマジでうれしい」。苦難を乗り越えた背番号26は実感を込めた。(遠藤 礼)

続きを表示

2022年7月7日のニュース