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ソフトバンク育成・黒瀬健太「中田翔塾」で“開眼” 支配下登録へ猛アピール

[ 2022年7月7日 07:30 ]

ソフトバンク・黒瀬   
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 腹をくくった男に怖いものはない。ソフトバンクの育成選手・黒瀬健太内野手(24)が7年目の今季、プロ入りしてから一番の輝きを放っている。シーズンの支配下登録の期限が今月31日に迫る中、持ち前の長打力をいかんなく発揮し、猛アピールを続けている。

 1メートル82、99キロの右の大砲候補。注目すべきは本塁打率の高さだ。今季、ウエスタン・リーグで67打数20安打。打率・299、6本塁打をマーク。約11打数に1本はアーチを放っている計算だ。2軍でチームトップ8本塁打のリチャードが166打数と考えると、ポテンシャルの高さが際立つ。「技術とメンタルの両方が良くなっているし、打席で迷っていないですね」。好調の要因の裏には、野球人生を懸けた覚悟がある。

 「今までは、“少ないチャンスで結果を残さないといけない。打てなかったらチャンスもなくなるし、もらえなくなる”。そう考えると小さくなっていた。今年は“3軍に落とすなら落とせばいいし、クビにされるなら仕方ない”と良い意味で開き直りました」

 初芝橋本(和歌山)から15年ドラフト5位で入団。「高校通算97本塁打」の肩書きを引っさげ、注目を集めてプロの扉を叩いた。しかし、3年目のオフに育成選手に降格。以降は自身にプレッシャーを与え続け、寝る前も野球のことを考えてしまう日々。明かりを消しても、気づけばバットを握り、「考えすぎて不眠症みたいになりました。メンタルはもうボロボロでした…」。抱え続けてきた“重荷”を今季から取り払った。

 黒瀬には感謝を伝えたい師匠がいる。21年から自主トレをともにする巨人・中田だ。このオフは一軒家を借りて、ひとつ屋根の下で生活をともにした。食事の時も、リビングで寝る時も一緒の空間。同行していた中田のトレーナーからはスポーツ力学を学び、自分に合った体の使い方、力の出し方の引き出しが増えた。夜はお酒とバットを片手に打撃理論を語り合い、「僕の考えを伝えると、自分のことのように親身に考えてくださった。めちゃくちゃ濃い時間でした。翔さんからは凄く愛情を感じるんですよね」と振り返る。

 「中田塾」からもらった引き出しを春季キャンプで実践。「打ち込んでいる時に翔さん、トレーナーさんに言われたことが少しできてきた。前の感覚とは全く変わりました」と変化は現れた。練習では今まで打球が伸びなかった中堅方向や、逆方向にも柵越えが出るようになった。そして、6月26日のオリックス戦で、バックスクリーン直撃の特大アーチ。自信は確信に変わりつつある。

 新型コロナウイルス感染拡大で右の大砲デスパイネ、グラシアルが離脱し、「救世主」としての期待がかかる。現在、チームの出場選手登録数は69。上限70人のため、現時点で残る座席はあと一つ。「自分が頑張れば、周りの人も喜んでくれると思う」と周囲への感謝も忘れない。人事を尽くし、天命を待つ。(記者コラム・福井 亮太)

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