勝利チームの先発投手に勝ちが付く確率は29・2%、球界は勝ち投手の決め方を考え直すべき

[ 2022年6月24日 11:54 ]

ヤンキースのコール(AP)
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 スポーツ専門局ESPN(電子版)のトリスタン・コッククロフト記者が、勝ち投手の決め方を考え直すべきと提案している。

 20日(日本時間21日)のヤンキース―レイズの試合は先発コールが7回1/3を投げ、2-0とリードして一人走者を残してマウンドを降りたが、リリーフ投手が打たれ、同点にされてしまったために勝ち投手の権利が消えた。最終的に4-2でヤ軍が勝ったが、勝ちは1イニングを投げた別のリリーフ投手に付いた。

 こういう事象は珍しくないことから、最近ではサイヤング賞の投票者は先発投手の「勝利数」を重視しない。加えて近年、先発投手の役割は縮小され、先発して勝ち投手の権利を得る5イニングを越えることが減った。おかげで今季はここまで勝利チームの先発投手に勝ちが付いたのは全体の29・2%。過去4年連続30%以下だ。1980年から2017年の間、この数値は平均35・2%。36・8%から33・5%の間を推移していた。それがオープナーが採用され、リリーフ投手が早い回から次々に出てくるようになって数値が下がった。

 そこでコッククロフト記者は勝ったチームで最も効果的なピッチングをした者を勝ち投手にすべきと提案する。試合開始から何イニング投げたとか、途中でリードしているチームが変わったとか、役割だとかは関係ない。そしてオフィシャルスコアラーに決めてもらう。あるいは勝ち投手を決める新方式を採用する。

 コッククロフト記者の具体案は、投げたイニングから失点を引いた数字で比較する。数字が同じなら、タイブレイクで、出した走者数で比較する。それでも同じなら最後はオフィシャルスコアラーの裁量だ。要は、誰が少ない失点で最もアウトをたくさん取り、勝利に貢献したかである。

 昨季、メジャーの20勝投手はドジャースのウリアス一人でちょうど20勝だったが、その方式なら、ウリアスが25勝、ビューラーが22勝、デスクラファニが20勝、シャーザー20勝と、20勝投手が4人になるという。60年代から80年代に活躍したメッツのエース、トム・シーバーは647試合に先発し231試合が完投だった。先発投手が5イニングを投げるのは当然のことだった。当時と今では野球が違っている。投手の勝ち数を意味のあるものに戻すためにも、現状に即して考え直すべきだと思う。

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2022年6月24日のニュース