広島の怪力ドラ6・末包“ポスト誠也”の覚悟「穴を埋められる選手になりたい」 単独インタビューで激白

[ 2022年2月15日 05:30 ]

自慢の怪力でポスト誠也を目指す末包(撮影・奥 調)
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 広島ドラフト6位・末包(すえかね)昇大外野手(25=大阪ガス)が、15日から始まる沖縄2次キャンプを前に本紙の単独インタビューに応じた。日南キャンプでは桁外れのパワーでアピールに成功。持ち前の怪力を生かして、1年目から球界を驚かせる決意を明かした。(取材構成・河合 洋介)

 ――キャンプ初日に飛距離や柵越え数で注目を浴びました。意気に感じましたか、それとも戸惑いましたか。

 「半々ぐらいですかね…。求められているのは飛距離やパワーなので、それを見せられたのは良かったのですが、“もしかして、もっと飛ばせるのでは?”という(周囲の)期待もあった。注目されている分、力も入ってしまう。やりづらさは半分ありましたよね(笑い)」

 ――飛距離という長所がプロでも見劣りしないと実感したのではないですか。

 「この長所でプロに入ることができた。他の選手に自分が勝てるところがあるとすれば、そこだと思う。チームメートの中ですけど、キャンプ初日から飛距離や柵越えした本数では目立てた。そこを生かさないと、この世界では生きていけないし、大事にしてやっていきたいと思います」

 ――プロに入っても、飛距離で負けることはないだろうという確信はありましたか。

 「正直どうなんだろうとは思っていました。社会人では飛距離で目立つことができたのですが、どれだけプロで目立てるのかという不安はありましたね」

 ――同じ外野手、大砲として大リーグ移籍を目指す鈴木と比較される現状をどのように受け止めていますか。

 「日本の4番ですからね…。比べられるようなレベルではないですけど、そこを求めてもらえるのは幸せなことですし、その穴を埋められるような選手になりたいと思っている。そこが抜けるから僕がこのチームに呼ばれたと思うので、しっかりと自覚と覚悟を持って1年目からやっていきたいと思います」

 ――その右翼を狙う同期入団・ドラフト3位の中村健(トヨタ自動車)が実戦で目立っています。良きライバル関係ですね。

 「打撃のタイプが違うとは思いますが、すごいですよね。シート打撃で2日連続2安打して紅白戦で本塁打を打って…。トヨタから来て、ドラフト3位でもあるし、しっかりとした技術を持って来ているなと思う。でも一塁で出るにしろ外野で出るにしろ、ライバルは他にもたくさんいますし、彼一人ではない。誰かの結果によって左右されているようではダメだと思う。結果を残せば自分が一番目立つことができる。誰かが打ったから、どうのこうのと気にすると“沼”に入ってしまうと思う。一喜一憂しないことを求めてやっていきたいと思います」

 ――沖縄2次キャンプでは実戦1号が待たれます。早く長打を見せないといけない焦りはありますか。

 「第1クールでは打撃の形そのものが全然ダメだった。第2クールで実戦が始まっても長打は出ないだろうな…と分かっていた。もう少し良くなってくれば、逆方向への打球が出たり、引っ張った単打が二塁打や本塁打に変わると思う。修正して技術を上げていければ、長打も打てるかなと思っています」

 ――日南1次キャンプが終わりました。打撃面での収穫や課題を教えてください。

 「打撃の打球や内容に課題があります。バットの出し方がキャンプ初日から悪かった。打撃コーチのみなさんと話をして、悪かった部分を修正し、直していったら自分の中でも徐々に良くなっている感覚があって、周りの人からも打球が良くなってきていると言われるようになった。少しずつですけど、良くなっていると思います」

 ――バットの出し方など修正点を具体的に挙げられますか。

 「少し掻(か)いている(遠回りしている)ような感じだった。捉えたとしても大ファウルだったり、外(三塁側ファウルゾーン)に逃げていくような軌道になる。それがいい形で左翼線に入るような打球が増えてきた。バットの出し方は徐々に良くなってきているかなと感じています」

 ――たとえ打率が下がったとしても長打を求めますか。

 「やっぱり(強く)振れないと飛ばないし、魅力がなく怖さもないと思う。僕みたいな打者が当てに行くようなことをしていたら投手も投げやすいと思う。スイングの強さを見せられれば、一発があるという怖さは感じてくれるはず。それで失投が生まれるかもしれない。多少は打率が下がったとしても、そのスタイルを変えないということは、1年間を通してやらなければいけないと思っています」

 ――長打力は元々持っていたと思いますが、なぜ社会人に入ってから打率が向上したのですか。

 「気持ちの変化があって、それに伴って技術も向上したのだと思います。(東洋大の)最初の頃から長打を求められてきたけど、長打を狙い過ぎて打てなくて、小さくしようとして魅力もなくなる。その悪循環だった。考え方から変えて、自分の魅力、アピールポイントを出すために三振か本塁打かという感じで小さくならずに振っていこうと思った。その上で振っていくにしても、自分の打てるところをしっかりと振ろうと。その意識からボール球を振らなくなって、長打が出やすくなったり、安打も増えて打率が残るようになった。最後の(社会人)1年間を通して打率を残せたのは、気持ちの変化と技術の向上があったからだと思う」

 ――昨年の都市対抗野球JFE東日本戦では4三振して敗退。三振が続いても自身のスタイルを貫いたということだったのですね。

 「去年1年間は(三振を)気にしていなかったし、たまにあったんですよね、オープン戦で3三振と4三振とか…。僕自身は、次に向けて、今日のここが悪かったのだな…と捉えるようにしていました。都市対抗だけを見たら穴しかないという捉え方をされるかもしれないけど、僕自身は気にしていない。三振を怖がっていたらバットを振れないので。今後、技術を上げることでカバーできるようにしたいと思います」

 ◇末包 昇大(すえかね・しょうた)1996年(平8)5月27日生まれ、香川県出身の25歳。高松商では甲子園出場なし。東洋大では3年春からリーグ戦出場。大阪ガスでは入社2年目の20年都市対抗で全国大会デビュー。21年の日本選手権では打率・450で2大会連続優勝に貢献。21年度の社会人ベストナイン(外野手)。1メートル88、110キロ。右投げ右打ち。

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