広島育成1位左腕・新家 「お化けスライダー」武器にソフトB千賀ロード歩む

[ 2021年10月26日 05:30 ]

担当の鞘師スカウト(右)からカープ帽をかぶせてもらい、記念撮影する田辺・新家(撮影・河合 洋介)
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 広島から育成ドラフト1位で指名された田辺高の新家颯(しんや・そう)投手(18)が25日、和歌山県田辺市内の同校で鞘師スカウトらから指名あいさつを受けた。落差の大きいスライダーを勝負球とする最速141キロ左腕。“お化けフォーク”ならぬ“お化けスライダー”を武器として、育成出身のソフトバンク・千賀のような出世街道を思い描いた。

 育成指名らしく、新家には優れた一芸がある。縦に鋭く落ちるスライダーだ。その勝負球にほれ込んだ鞘師スカウトは「万人が投げられるわけではない独特な曲がり方」と表現し、映像を見た佐々岡監督も、その急角度な変化に驚いていたと言う。新家自身もスライダーが人生を変えてくれるとの自負がある。

 「変化球には自信があります。その中でもスライダーが一番いいと思う。三振を多く取るスタイル。ピンチでも自分のスタイルを貫いて、たくさん三振を取っていきたいです」

 スライダー以外にもカットボール、チェンジアップを高精度で操り、高い奪三振率を誇る左腕だ。最速141キロと発展途上ながら、育成でも入団を迷わなかったのは、ソフトバンク・千賀の存在も大きい。育成契約から球界を代表する投手にまで成長した成功例を知るだけに、自分自身も指名順位に関係なく“千賀ロード”を進めばいいと決意を固めた。

 「(育成でも)選んでもらっただけでうれしい。千賀投手のように三振を多く取れる投手になりたいです」

 千賀の代名詞と言えば打者の視界から消えるように落ちる“お化けフォーク”。そして新家のスライダーも同じく“消える”。球速は120キロ前後と遅い部類に入るものの、同僚から「打とうとした瞬間に曲がる。気持ち悪い」と言われ、田中格監督も「手元でストン!と落ちる」と証言する。打者が「捉えられる」とスイングし始めてから急激に曲がる、まさに“お化けスライダー”なのだ。

 担当の鞘師スカウトも魔球に引き寄せられた一人だ。市和歌山・小園を目当てに今夏の県大会を視察すると、別試合で投げる新家に目を奪われた。スライダー中心に12三振を奪う姿に「めっちゃええやん」と感嘆。しかし初戦敗退となったため、同校に通って能力の高さを再確認した。

 高1冬に左肘を手術し、リハビリに多くの時間を割いていただけに伸びしろも大きい。「スライダーでストライクも空振りも取れると思っています。まずは基礎を固めて活躍したいです」。近い将来、“お化け”で驚かせる。(河合 洋介)

 <新家颯 アラカルト>

 ☆生まれとサイズ 2003年(平15)8月14日生まれ、和歌山出身の18歳。1メートル82、80キロ。左投げ左打ち。

 ☆球歴 会津小1年から「あいづクラブ」で野球を始め、衣笠中では軟式野球部に所属。田辺では3年夏の初戦・和歌山工戦で9回3失点12奪三振と好投するも敗退。

 ☆特技 ルービックキューブが得意で、1分以内に6面を完成させられる。

 ☆ファン 両親の影響で幼少期は阪神ファン。15年交流戦でソフトバンク・柳田がDeNA・三浦から放ったバックスクリーン弾に衝撃を受けて鷹党に変更。

 ☆座右の銘 「英姿颯爽(えいしさっそう)」。勇ましく堂々と立ち向かうという意味。両親から「自信を持って行動するように」と、この四字熟語を伝えられて大事にする。

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2021年10月26日のニュース