甲子園 昼は高校、夜はプロ 31日以降に順延なら初の同日開催へ 芝メンテできなくても矢野阪神全面協力

[ 2021年8月21日 05:30 ]

<D・神16>8回1死一塁、右前打を放った代打・糸井に代走を送る矢野監督(撮影・会津 智海)
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 高校球児のために、阪神が一肌脱ぐ。第103回全国高校野球選手権大会の大会本部は20日、天候不良で、兵庫県西宮市の甲子園球場を本拠地とする阪神の公式戦が行われる31日以降に日程が順延された場合、阪神との同日開催で継続すると発表した。阪神球団、甲子園球場と協議し基本的に日中に高校野球、夜に阪神の試合を開催する方針。阪神・矢野燿大監督(52)も「俺らがNOと言うことは何もない」と全面協力の姿勢を示した。

 プロが、高校球児たちの夢を奪うわけにはいかない。天候不良の連続で、現時点で史上最多となる計7度の順延を余儀なくされている今大会。決勝は当初予定の25日から4日もずれ込んで29日となっている。今後も雨天順延となる可能性があり、あと2日、順延となれば阪神が午後6時から公式戦(31日~9月2日、中日戦)を予定する31日だ。

 この日、大会本部が阪神、球場と協議し、異例の決定を下した。決勝が31日以降に順延となれば、甲子園で高校野球とプロ野球を同日開催すると発表。つまり、甲子園を舞台に高校野球と阪神の「ダブルヘッダー」が行われるというわけだ。

 同本部は「仮に31日以降に順延になったとしても高校野球は甲子園球場で開催を継続します。この場合、基本的に高校野球が日中、阪神タイガースが夜の同日開催となります」と説明した。そして、この日、バンテリンドームで中日戦を戦った阪神・矢野監督も、快く呼応した。

 「(ダブルヘッダー開催の可能性に)天候なんて計算できないから、そこまでやるというのは球団側、高野連とか、みんなで話し合って、そういう話になっていると思う。そこで俺らがNOと言うことは、何もない」

 阪神は例年、高校野球開催中は長期遠征に出て8月下旬に甲子園に戻る。普段通りなら芝のメンテナンスや球場をプロ仕様に変更する期間が数日設けられる。1日最大4試合で荒れたグラウンドを通常の姿に戻すためだ。だが、今年はその期間がない。さらに試合前に高校球児が使うことで、ナイター時にはグラウンド状態も最高とは言えないことだろう。それでも、もっと大事なことがある。虎将は言葉を続けた。

 「最後までしっかりやれる、それでやれるのであれば、やらせてあげたいと俺らも思うし。高校球児にとって一番、良いことを判断してもらえれば」

 かつては自身も甲子園を目指し、届かなかった高校球児の一人。「甲子園」の重みを知る。なんとかして甲子園で――その一心だ。

 5日順延した75年は22日の決勝が雨で2日ずれ、24日に実施。そのため23、24日に予定されたプロ野球公式戦(阪神―ヤクルト)は中止となった。甲子園大会とプロ野球が同日開催となれば史上初。コロナ禍と前例のない長雨の影響が直撃している異例の夏。球児たちが最後まで聖地でプレーできるのは、何よりの朗報だ。

 ▽アマとプロの同一球場同日開催 神宮球場で大学野球の東京六大学野球と東都大学野球がデーゲーム、プロ野球のヤクルトがナイターで主催試合を行うケースがある。高校野球の地方大会では近年も京セラドーム、ZOZOマリン、横浜スタジアムなどのプロ野球本拠地球場が使用されているが、同日開催は極めて異例だ。

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