エンゼルス・大谷 見えたナイキの理想的軌道「フライボール革命」提唱者絶賛

[ 2021年8月20日 02:10 ]

ア・リーグ   エンゼルス3-1タイガース ( 2021年8月18日    デトロイト )

<タイガース・エンゼルス>8回無死、大谷は右越えの40号ソロ本塁打を放つ(撮影・沢田 明徳)
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 大リーグは19年に史上最多6776本の本塁打を記録し、「フライボール・レボリューション(革命)」と呼ばれた。アッパースイングを理想とする打撃理論を提唱し、レッドソックスの主砲J・D・マルティネスらを超一流のスラッガーに激変させた打撃コンサルタントのクレイグ・ウォーレンブロック氏(74)がスポニチ本紙の取材に応じ、大谷の打撃フォームを絶賛した。

 マリナーズのジェリー・ディポトGMは、ウォーレンブロック氏を「MLBの野球を変えた人物」と評する。ひと昔前はダウンスイングが理想とされたが、同氏の理論はバットの軌道を上向きにするアッパースイング。長年、プライベートコーチとして多くの選手を一流に育て上げ、現在はドジャースの打撃コンサルタントを務め、オフには他球団の選手も指導している。

 ウォーレンブロック氏が大谷の打撃フォームの動画を見て「一番いい」と指摘したのは、インパクトに入る時の形だ。「前足のかかとが地面につき、スイング開始で左肘が下がり、体が引き寄せられ始めても、手首が立ってバットが寝ていないこと。彼の手は肘の動きと独立している。だから、ギリギリまで待って、どんなコースとタイミングでもバットを強く振りだせるんだ」。160キロ近い速球にタイミングを合わせながらも、緩急に対応できる理由は「手と肘の独立」と言う。

 始動時についても「おへその位置から鼻の位置に線を引けば、重心が後ろにあることが分かる」。圧倒的なパワーを生み出すポイントは「両足が地面につき、お尻のラインも水平で、両膝も同じくらいに曲がっている。だから固定された前足に重心が動いていく時に、力が逃げずに前足を軸にきれいに回転できる」と説明する。フィニッシュに向かうバットの軌道はアッパースイング。「ナイキのロゴのような軌道(左打者は逆)が理想で、彼はそれができている」と絶賛した。

 まさに「フライボール革命」の申し子ともいえる大谷のスイング。米球界が一目を置く打撃理論のスペシャリストも「とても効率的なスイングで、直すところは全くない」とまで断言した。 

 ▽フライボール革命 「ゴロよりもフライボールの方が安打の確率が上がる」という打撃理論が、打球を解析するスタットキャストが導入された15年以降に浸透。打球速度98マイル(約158キロ)以上で26~30度の角度で打ち出せば、打率5割以上が期待できるという。打者は以前よりアッパー気味のスイングになり本塁打数と同時に三振数も激増したが、17年にアストロズが前面に押し出して世界一となったことで追随するチームが続出。データ分析に基づく守備シフトの進化もあり、ゴロの安打が激減していたことも影響した。

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2021年8月20日のニュース