石川・小松大谷、悪夢乗り越え36年ぶり2回目の聖地甲子園へ 目標は「甲子園優勝」

[ 2021年7月26日 17:37 ]

全国高校野球選手権石川大会決勝   小松大谷11-3金沢 ( 2021年7月26日    石川県立 )

36年ぶり2回目の甲子園大会出場を決め、マウンドに歓喜の輪を作る小松大谷ナイン
Photo By スポニチ

 長く閉ざされていた聖地への扉をこじ開けた。小松大谷が14安打11得点の猛攻で勝利を収め、36年ぶり2度目の甲子園大会出場を決めた。前回出場時の校名は北陸大谷で、2010年に現校名になってからは初めての出場。木下仁緒(にお)主将(3年)は「いろんな人の思いを必ず形にしようという思いでやってきた。それができて嬉しい」と感無量の表情だった。

 最終回を迎え、点差は7年前のあの日と同じ8点だった。土壇場の9回2死二塁。優勝まで、あと1アウトの場面で西野貴裕監督(46)は先発し、6回2/3を3失点と力投したエースの北方を伝令に送った。

 「あと一つのアウトを全員で取ろう」

 ナインの思いを背に、2番手の岩野が最後の打者を三振に仕留めると、マウンド上に歓喜の輪が広がる。「8点差はもちろん、気付いていましたが、それで何が変わるわけでもない」と指揮官、大量得点にも、決して緩まない。今度こそリードを大事に、そして丁寧に守り抜いた。

 前回出場以降、最も甲子園に近付いた瞬間が“あの日”だった。2014年7月27日。星稜との決勝戦は8―0で最終回を迎えたが、大量リードを守り切れず、9回裏に9失点。高校野球史に残る大逆転負けを喫した。先輩達の悔しさ、無念さは代々、小松大谷ナインに受け継がれてきた。練習場の三塁ベンチには、パネル化された当時の新聞記事が飾られている。高校通算10号本塁打を含む3安打3打点と得点源となった4番・奥野真斗(3年)はテレビで当時の試合を観戦。「先輩達が歴史を積み上げてきてくれたからこそ、甲子園に出られた。自分たちだけの力ではない」と力を込めた。

 主将も7年前の試合はテレビで見ていた。石川県小松市出身。中3時は他校も選択肢に入れていたが、地元の高校から甲子園に行きたい思いが強く、小松大谷に進学。天性のキャプテンシーで79人の部員を束ねる。「気を抜かずに27個のアウトを取る。どれだけ点差が開いても、同点のつもりで戦おうと、いつも話しています」と胸を張った。

 西野監督にとっては2012年に就任後、3度目の決勝戦。過去2回は敗れており、3度目の正直を果たす結果となった。「決勝戦を突破する厳しさを感じます。これまで2回、チャレンジさせてもらって、勉強させてもらった。今の3年は特に厳しくやってきたので、突破してくれて嬉しいですね」とたくましさを増したナインに目を細める。目標は「甲子園優勝です」。歴史の壁を破ったナインが聖地での初勝利、さらに頂点を目指す。

続きを表示

この記事のフォト

2021年7月26日のニュース