誰からも愛された「平成の怪物」 スポニチ歴代番記者が語る松坂大輔という男
西武・松坂大輔 今季限りで引退
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大輔、お疲れさま――。「平成の怪物」と呼ばれた松坂大輔が、23年間の現役生活に別れを告げた。横浜高時代や、西武、レッドソックスで取材してきた歴代の担当記者が、松坂の人柄や当時の思い出を語った。
≪実家で見た「人懐っこさ」の原点≫98年1月。駆け出し記者最初の仕事が横浜高2年生の松坂の取材。コンビニ弁当を食べながら、厳しい練習についてチームメートに愚痴をこぼして笑い転げていた。どこにでもいる野球大好き少年が、マウンドではとてつもないパフォーマンスを見せる。そのギャップがたまらなく魅力的だった。
甲子園春夏連覇でフィーバーは最高潮に。常に注目されるプレッシャーは相当だったはずだが、それすら楽しんで笑顔でファンにも接していた。都内の実家を訪問した際。「何も特別な育て方はしていませんよ」と笑う母・由美子さんに幼少期の写真をおねだりすると「好きなの持っていって」と写真が無造作に放り込まれた段ボールを渡された。「あはは」と豪快に笑う横で穏やかに相づちを打つ父・諭さん。松坂の人懐っこさの原点を見た気がした。
ここ数年の松坂は野球を楽しめていただろうか。あの頃のように笑って野球に向き合える日までゆっくりすればいい。「マツ」お疲れさま。(大阪編集局次長、98年アマ野球担当、05年西武担当・牧田 大一)
≪うれしくて秘密で着続けたユニ≫2月の高知は肌寒い。99年、キャンプ初日の朝。数十人の報道陣を引き連れた松坂の「プロ第一歩」は、宿舎から近くの鏡川までの散歩だった。
キャンプを前に「松坂青春日記」の企画を打診した。最初は困った顔をしていたが、「日記を書くのは小学校6年生の夏休み以来ですね」と笑いながら引き受けてくれた。
緊張の初日を終えた松坂に日記の取材をすると「内緒にしてたけど、トレーニングウエアの下にユニホームを着ていたんです。誰も分からなかったでしょ、へへヘ」と教えてくれた。朝起きてすぐに純白のユニホームに袖を通すと、うれしさのあまり、ずっと着続けていたという。一瞬見せた照れ笑いに野球少年の素顔を見た気がした。
あの1年目から22年。怪物は大好きだった西武のユニホームで長い旅を終えた。日本ハム戦の衝撃のデビューも見た。イチローとの初対決も見た。それでも「引退」と聞いて、最初に浮かんだ光景は、キャンプ初日、松坂がこっそり教えてくれた高知の朝の“秘密”だった。(編集局次長、98、99年西武担当・福澤 孝哉)
≪「野球小僧」代打で衝撃の適時打≫平成の怪物。素顔は明るく、朗らかで、裏表のない好青年だった。記者が担当したのはもう20年も前。時の流れの早さを思う。
00年。松坂は入団2年目だった。2月の高知での春季キャンプ。朝7時の散歩から、宿舎の前にはテレビ各社のカメラが連日、ずらりと並んだ。2年目にして衰えぬフィーバーぶり。「これが怪物か…」と驚いた。本人はメディアの取材攻勢も楽しんでいるかのようで、いつも笑顔で応じていた。親分は東尾修監督。兄貴分のデニー友利、石井貴らに囲まれて、青年・松坂はすくすくと育った。かわいがられたのは松坂の人柄あってこそ。ムード抜群のチームだった。
記者席で思わず叫んだのは同年8月7日、グリーンスタジアム神戸でのオリックス戦。9回2死満塁で代打で登場し、中前に2点適時打を放ったのだ。高校時代から打撃センスは抜群。02年の巨人との日本シリーズでは、第1戦で「7番・投手」で出場したこともある。エンゼルス・大谷が二刀流で旋風を巻き起こしているが、松坂も投打でプレーを楽しむ「野球小僧」だった。(スポーツ部専門委員、00、01年西武担当・鈴木 勝巳)
≪“結婚式のコント”に喜んで出演≫西武担当1年目の06年は松坂がメジャーに移籍する前年。年齢は3つ下だが、スターのオーラに圧倒され敬語で接していた。数カ月後、ふいに松坂から「山田さん、いくつですか?」と問われた。年齢を答えると「じゃあ、敬語はやめてください」。担当記者として認められた気がした。
今でも感謝している。同年6月。地元の静岡の親友が結婚するため、ビデオメッセージを求めると快諾してくれた。ダメ元で「知り合いの体でやってほしい」と要求。冒頭で「○○君が結婚します」と振ると「えっ!マジっすか…」とコントに付き合ってくれ、最後は「おめでとうございます。会ったことないですけど」とオチまでつけてくれた。式では大笑い。出席した全員がファンとなり、記者は「英雄」となった。
謝罪したいこともある。同年10月9日。プレーオフ第1ステージで敗退し、メジャー挑戦が濃厚だった松坂は右翼席のファンにあいさつ。最後はグラウンドにも一礼した。翌日の紙面の写真には「なるべく近くで」との思いで観察していた記者の姿も。大切な瞬間を邪魔してすみませんでした。(スポーツ部デスク、06、07年西武担当・山田 忠範)
≪4ドルの「フォー」にも恩義忘れず≫レッドソックスに移籍して2年目だったか。腹痛をこらえながら5回を投げきった試合があった。遠征先のホテルから「食事が喉を通らない」とのSOSをもらった記者は、ベトナム料理の「フォー」をテークアウト。もちろん、彼が当時食べられなかったパクチーを抜いた。
後日、記者が妻と国際電話をしている際に、いきなり「僕に代わってください」と言うと、お礼の言葉とともに、子供のことを聞いていた。なぜかな?と思ったが、2週間後、記者の自宅に届いたのは、段ボールいっぱいの服だった。たったの4ドル(当時約440円)の「フォー」に対して、恩義を感じてくれたのだと思う。さりげない気配りができる。それが、松坂大輔である。
ソフトバンクの退団後も寮の冷蔵庫が空になったと聞くと、栄養ドリンクを段ボールいっぱいに送ったことは有名な話である。常に笑顔で接し、感謝の思いを意識せずに表現できる。自然体の魅力が詰まったからこそ、仲間に愛されたのだと感じる。(デジタル編集部デスク、99年西武担当、07~12年レッドソックス担当・倉橋 憲史)
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