【阪神・近本インタビュー(下)】打率も出塁率も違う!「ホームまで還ってくることが仕事」

[ 2021年2月16日 06:16 ]

<阪神キャンプ 近本×亀山氏対談>亀山氏(左)と対談をする近本(撮影・坂田 高浩)
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 亀山 打率は昨年は最初は良くなかったけども、最終的には・293まで上げてきた。1年目の・271から右肩上がりできているのでは?

 近本 打率ってトータルで見るものじゃないですか。だから僕は、そこまでこだわらなくてもいい数字なのかなって思っています。月別で言うと昨年は6、7月が悪くて、8、9、10月は悪くはなかった。シーズンの中で調子の良しあしがあって、・293というのはトータルの数字。だから、その時々の調子は打率には表れないので、こだわるのはどうかなって思っていたのですが…。

 亀山 ん? ですが…?

 近本 それでいいのかなって思っていたんですが、シーズンが終わった時とか野球を辞めた時に、2年目は3割いけたというのと、2年目も3割いかれへんかったというのは全然、違うと思うんです。

 亀山 なるほどねえ。でも、近本選手の役割でいうと、上げ下げする打率よりも、積み重ねていく安打数や出塁数を意識した方が前向きに戦えるのではないかと思うのだけど。

 近本 そうですよねえ。率にこだわってしまうと、正直打席に立ちたくない時もあってしまいます。5打席目立ちたくないな、6打席目イヤだなとか、正直あるので。ボックス(打席)の中での意識が変わってきてしまうので、そこは意識しないようにしないとですし、また、意識しなくてもいい積み重ねられるヒットを意識したいですね。

 亀山 本数を積んでいくことをテーマにしたらいいんじゃないかなあ。

 近本 いろいろ3割、3割って言われるのですけど、そうですよね。

 亀山 本塁に還ってこない3割と、本塁に還ってくる2割8分は、どちらが貢献しているのかということ。近本選手は生還するのが役割だもんね。

 近本 野球は点を取る、点を防ぐのを競うスポーツ。どれだけ打率が良くても得点に絡まなければ試合に勝てません。

 亀山 オリックスの吉田正尚選手が話していたのですが、四球を意識しているんだと。そうすることで無駄なボールを振らなくなる。そうすれば相手投手がストライクゾーンに投げないといけなくなり、そういうシチュエーションをいかにつくれるかだって…。

 近本 吉田正選手が言われるように、打つボールと打たないボールをきちんと見極めるという話は、僕もちょっと意識するだけでも変われるのかなと思います。でも、僕みたいな役割の選手は出塁するだけではいけない。出塁率は高くても得点が高くなければ勝利に直結していないと思う。どちらも高いのが一番いいのですが、やっぱりホームベースまで還ってくることが仕事なので、盗塁もします、打球で三塁までいきます、ワンバウンドでさらに走ります――。そういうことにつながる四球を増やしたい。 

 亀山 矢野監督が就任してこの2年、走る野球をとり入れた。「1番・近本」はどの球団にも負けない強み。だからそこを明確に打ち出してシーズンに入らないといけないと思う。

 近本 僕、何番打つんですかねえ?

 亀山 1番を打ってよ。1番が一番ハマってるんだから。では最後に守備の意識は?

 近本 昨年のキャンプから後方の飛球をやってもらっています。ボールの見方だったり腕の振り方、走り方、(体の)切り方がだいぶ分かってきて、シーズンの中でも自信がついてきたのですが、どうしても低いライナーが…。前の打球だとか、ちょっと横の打球ですね。実感もしていますし、サイバーメトリクスの数字もあまり良くなかった。判断だったり一歩目というところをもう少しうまくなりたいと思っています。

 亀山 センターはそれが一番難しいところ。

 近本 アッてなってしまうんですよねえ。

 亀山 万が一、後ろを抜かれる可能性もあるわけだから瞬時に判断するのは本当に難しい。

 近本 左右とか後ろってある程度判断できるじゃないですか? 僕も守備範囲も年々広くなってきているのですが、でも前のライナーは…。0コンマ何秒というところの判断でアウトかヒットか分かれてしまいます。

 亀山 すごいレベルの高い悩みだなあ。今年はそれに両サイド(左翼と右翼)のメンバーが代わる可能性があるので、そこら辺りも開幕までに詰めていかないとね。

 近本 ポジショニングはこの2年は福留さんと糸井さん、昨年はサンズとかと話しながら、どこまで行くのか、どういう声かけをするのか話し合ってきました。ポジショニングの傾向もありますよね。ちょっとラインを締める人と、右中間左中間を締める人で変わってくる。その選手の得意、不得意も考えながらやっていかないとですね。

 亀山 オープン戦の間で右中間、左中間のエリアを明確にして確認しておかないと、捕れるものも捕れなくなる。

 近本 (右翼を守る選手が)右中間が得意ならちょっとライト線に寄っていきますよね。少し寄りすぎなのでこっちに戻ってきてくださいと言うとすると、右中間の打球は僕とライトの2人のどちらかが捕ればいいのですが、ライト線は1人なので、そのあたりの不安を無くすためにどう考えようかなとコミュニケーションを取らないといけないですよね。僕が右中間に寄るから、そちらはお願いしますねとか、ですね。

 亀山 今日話をしてみて、しっかりとリーダーシップを取れていけると確信したよ。大丈夫!

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