岩隈久志に藤川球児、大物選手の引退に揺れた野球界 岩隈の思いとは

[ 2020年12月29日 11:00 ]

巨人・岩隈はスポニチ本紙に独占手記を寄せた(10月20日付東京本紙最終版1面)
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 【紙面ニュースで振り返る2020】2020年のプロ野球界。一時代を築いた大物選手も引退の決断を下した。その一人が巨人の岩隈久志投手(39)だ。現役引退を発表した10月19日。本紙記者の連絡にも丁寧に対応してくれた岩隈投手はスポニチ本紙に手記を寄せてくれた。そこに書き尽くせなかった思いとは。

 岩隈に現役時代の思い出を聞くため、携帯電話を鳴らした。急なお願いにも関わらず、時間を割き、一つ一つ丁寧に答えてくれた。印象に残った話に、メジャーへの興味を抱いた理由がある。それは一学年上の「松坂大輔」の存在であった。

 「松坂さんが投げていて、テレビでも観るようになった。そのうち、『もしかしたら自分も…』と思うようになった」と明かした。2人は09年の第2回WBC大会でダルビッシュを含めた3本柱として2連覇に大きく貢献。すでに戦いの場をメジャーに移していた松坂とは、グラウンド内外で親交を深めた。

 「野球の話もいろいろ聞かせてもらって。吸収したことも大きかった」と振り返る。尊敬する先輩の一人だったが、1歳差ということもあり、身近に感じられる部分もあった。そんな松坂がメジャーのマウンドに立っている。その現実を観る度、岩隈のメジャーへの思いは大きくなった。「松坂大輔」という投手を通じて、メジャーを身近な存在に感じていったのであった。

 電話の後、家族写真の提供にも快く協力してくれた。引退会見で同席した原監督が明かしたように、最後は右肩を脱臼した。けじめがついていたからだったのだろう。電話で話したときの声は、いつもの冷静で、ゆっくりと話してくれる岩隈の声と変わらなかった。

 今年は松坂の同級生である阪神・藤川球児も含め、一時代を築いてきた選手たちが引退した。野球界ではスピードとパワーがクローズアップされた1年。野球界の進化のスピードが加速する中、ベテランたちは惜しまれながらユニホームを脱いだ。(特別取材班)

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